安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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中国警察、抗議デモに発砲
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〈 Sat, 10 Dec 2005 〉


●天安門いらいの粉砕
中国治安警察が農民の抗議デモの群衆に機関銃で対応、約20人が死亡,50人が行方不明になったもよう。9日、NYタイムズとヘラトリがそれを転載して速報が伝えられた。しかしそのまえに香港発のRFA(自由アジア放送)が7日に伝えています。http://www.rfa.org/english/news/2005/12/07/china_guangdong/

●紅海湾プロジェクト   
事件は6日夕方、広東省汕尾市(Guandong, Shanwei)の近くの村ドンジョウ(Dongzhou)でおこった。政府が海岸に面して風力発電所を建設中だが、その土地収用をめぐっての争い、現在補償金の闘争で工事が進んでいない。上の写真AFPよりはその発電所で、背景の南シナ海にむかって風車がふたつつうっすらと見えます。紅海湾発電所プロジェクトと呼ばれている。

抗議デモは、建設にともない土地を追われた農民、漁民が政府・地方自治体に抗議する中国によくある図式のひとつです。この建設地へ村民の代表3人が様子を見に行った所、たちまち拘束されてしまった。そのあと数千人の村民が建設用地におしかけ、3人を返すよう掛け合ったが、警備隊は催涙ガスで応酬。このときはケガ人はでなかったし、音の砲弾にも慣れっこになっているので、座り込みの群衆は去らない。中国らしく見物に大人子供も集まって群衆は膨れ上がった。

●夕暮れの機動隊は撃つ!
警備隊の応援に4〜500人の機動隊が出動し、NYタイムスによると日が落ちてから夜8時に銃を使いだしたという。最初は人を狙わず、地面に発砲していたらしいが、夜10時になって、乱射に発展した。天安門事件も夜になって武力に発展した。政府が国民にむかって乱射する・・独裁国家に特有の現象です。フランスで数週にわたったイスラムヤングの暴動では一人も死んでいないのです。

ドンジョウの村は機動隊によって完全包囲され、ニュースが漏れない要にする意図か。広東省の役所は汕尾市の市長が問い合わせても、事件について答えなかった。政府も国営メディアもまだコメントしていない。しかし中国は携帯が普及していますからね。特に沿岸部は農村といえ開けているので筒抜けです。デモの指導者を一軒一軒しらみつぶしに探しているらしい。

この紅海湾事件を政府がこのまま押さえ込むことができるか、死者への補償は市の共産党幹部が仄めかしているが、それは抗議の核心ではない。時代は天安門事件があった1989年から6年経過しており、強権がそうそう通じなくなっている。ここで思い切った補償額を提示して前例をつくると、他所に波及するので政府はできない。昨年のデモが74,000件という数字が如実に表しています。(了)



Pnorama Box制作委員会

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