安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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メラケル多難の出発とプーチン東京の好日
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〈 Wed, 23 Nov 2005 〉


● アンゲラ・メラケル、首相に就任。

9月の選挙から2ヶ月にしてようやく落としどころに落ちました。ドイツ初の女性だとか、東独出身、牧師の子で物理学者だとか、これからドイツを背負っていく政治家としてどうでもいい身辺ウワサが多い。景気の良い展望がもてない政局ですから、無理な注文もできない。いきおいメルケルさんの経歴に焦点が向かうのでしょう。こういう首相は楽しくない。本人に覇気が感じられないのですが、この人は「ネクラ」なんですかね。気の利いた警句がないのでいまだ『メルケル語録』がないさびしい首相です。

ドイツが欧州経済の牽引車、ドイツと日本で世界経済牽引の両輪といわれた時代がありました。あんな時代はもう望めない。メラケルさんが失業率を引き下げ、ドイツ経済をリバイブできるなんて期待をもっている人はドイツ人とフランス人がわずかばかり、と経済難民ですね。他の国はなべて冷ややか。

とはいえ、ドイツ経済そのものは悪くない。生産拠点を安い中国に移すため国内労働力がだぶつき、経済活動に参加できない人間を養っていかなければならない。先進国のゼロサム原理だもの。

明るい話題はシュレーダーとフィッシャーがぶっ壊したアメリカとの冷えた関係がよくなると信じられていること。しかしドイツ外務省の反米路線は健在で、アメリカは特に喜んでいる様子でもない。メラケルさんがブッシュとウマが合うか知りませんが、わだかまりなく話せる間柄になればすばらしい。仲良くなったからって、それで経済が持ち直す脈絡はないが、けっこうなことです。

メラケルさんは早速このあいだ会ったばかりのシラクさんへ公式訪問、そのあとポーランドやイギリスへ、そしてアメリカへと外遊を初仕事に選びました。

●プーチン東京の好日

プーチンはこの2期目で引退する。メドベーエフを側近No1の大統領府長官に据え、石油エネルギーのトップに腹心を置いてロシアをエネルギー輸出大国にするべく順部おさおさ怠りない。プーチンにはKGB時代から北方4島を返還する意思はない。領土問題だって?クーリルは将来の世代にゆだねよう。ずっとそう言い続けてきました。

今回、プーチン肝入りのガスプロム社長(BPと液化ガス工場をレニングラード近郊に建設で昨日合意)以下、100人の経済ミッションを引き連れてきたのは、プーチンが2008年に引退するまでにシベリア開発はじめ、日本のハイテク産業、金融界、観光客誘致の道筋をつけておきたいからです。

プーチンは柔道を通して親日家である。娘が日本語を勉強しているのもパパ・ウラジミルの親日が影響している。そういえば米国務省にも名前が思い出せないが柔道の達人で親日の次官がいました。不思議なものでジュウドウカラテに覚えのある古手の外国人はマンガ好きの外国若者より親日度が歴然と高い。で、そのプーチンが中国との国境紛争を終結し、日本の領土問題の解決ができない背景には、日露間の経済および人的交流が中露間に比べてガクンと落ちるからにほかならない。政府間人脈はムネオ級でしたから、領土問題が解決するなどわたし夢想だにできない。数年前『北方4島は返らない』と書いて以来考え直したことはない。

まず,両国の往来を活発にすること。今回最大の成果はロシアメディアが自慢するようにビザの簡素化だろう。日本人観光客をプーチンは守ります。ロシアは広い。寒いですと、ンもう。(了)



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