安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アンマン同時爆破、試されるヨルダン
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〈 Wed, 09 Nov 2005 〉


●アンマンは西側ビジネスマンの中東拠点

中東ビジネスはもっぱらヨルダンの首都アンマンが商談場所に使われている。イラクが騒然となったとき、国連機関やビジネスマンが避難し移転するのはきまってアンマン。イラクに入れない拉致被害者の家族が待機するのもアンマン。

ヨルダンの国王アブドラ・フセイン二世はイギリスとアメリカで教育を受け、イギリス・ロイヤル士官学校で学び、1年間、女王直属の王立騎兵隊に配属された。最後は米のジョージタウン大学で国際関係の学位を取得している。父である故フセイン国王はイギリス女性を娶ったので、つまりアブドラの母はイギリス人だ。どう転んでも親西欧の傾向があり、痛いことも言うがブッシユが最も信頼するアラブの指導者である。(イラクのフセイン、サウジのアブドラと紛らわしいので注意)

●死傷者は誰でもよい政府かく乱テロ

西欧から安全だと思われ、観光客やアラブの金持ちが遊びにくるアンマンで、9日朝、三つのホテルが連続爆破された。死者57人、負傷者115人。爆破されたのはいずれも高級ホテルチェーンであるGrand Hyatt, Raddison SAS, Days Inn、Hyattの前には首相の車がパーキングしていた。SASではヨルダン人の結婚披露宴会場で爆発。

犯行はアルカイダとザルカウイが絡んだ親米政権への攻撃とみて間違いない。犠牲者が外国人より殆どが現地人であったが、誰でもおかまいなく、要は政府を震撼させれば目的が達成されたとするテロである。先日、イラクでこともあろうにフセイン側の弁護氏を殺害したのも、法廷機能を失墜させればそれで目的達成とし、殺す人間を選ばないやり方である。

●中東に安全な都市はないとおもえ

アブドラ国王は外国訪問がはなはだ多い。訪問先のカザクスタンから急遽帰国したが、どうもヨルダン国民の反応は冷たい。アブドラの親米で八方美人的な立ち回りをよしとしない世論がはるかに勝っているようだ。首都のテロ爆破はアブドラ国王初めての試練となった。イラクでは米軍に追われるサウジなどの侵入過激派が、活動をアラブの親米国に向かうとおもわれる。その第一弾がアンマンのホテル爆破とするなら、サウジ、クウェート、アラブ首長国連邦、さらにトルコが標的になるだろう。

標的にならないのは人種的にアラブでなく外国人が来ないイランです。いま石油でじゃぶじゃぶお金が入るわ、レイムダックの米を尻目にウラン濃縮を進めるイラン、やんぬるかな。

さて、アンマンで攻撃されるハズだったSASに滞在のイスラエル人は、爆破の1時間前に全員避難して無事。そのままヨルダン治安部隊のエスコートでイスラエルに帰国した。イスラエルの情報網に毎度ながらおそれいる。(了)



Pnorama Box制作委員会

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