安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
小泉改造内閣、対応に躊躇する中国
------------------------------------------
〈 Tue, 01 Nov 2005 〉


●3行ニュースにすらならない当地の反応

当地ノルウェー各紙を総覧、TVを見た限りでは小泉第三次改造内閣に関する報道はいっさいなし。当地ではニュースの意味がないのだろう。国営ラジオでスウェーデン特派員の報告を聞いたのですが、「中韓関係修復のため麻生新外相がえらばれた」というような解説をしている。トンチンカンというか、北欧では戦犯を含めた神社に首相がお参りするのは中韓の国民を侮辱する行為、あえて何度も参詣するのはケンカを売る態度という中韓の見解に沿った固定観念がある。そこからこのスウェーデン記者は希望的観測を述べたのだろう。浅はか。

●ノルウェー人Hさんと議論

実は、数日前奈良でHさん一家と夕食をともにした席で、靖国参拝是非の議論がたかぶってしまい、それまではしゃいでいた子供がシーンと静まり、夫人は心配そうに黙りこくってしまった。家族ということで奥まった別室にいたため、臨席への迷惑はさほどでなかったとおもうけれど、場所は中華料理店だ。ウェイターさんたちは気が気でなかっただろう。

Hさんは靖国問題について調べ上げ、ブログもいくつかフォロウしたそうだ。わたしの反論は意外だったので議論は終わりようがない。シーンとしたところで打ち切り。しかし内容とは別にHさんが日本語で議論を挑むまでウマくなったことに、感激、至福の時でした。ただし、奥方にも判るよう日本語でとおしたのか、もし私とはノルウェー語より日本語のほうが話が通じると判断したとすればシャクだな。今度確かめてやろう。

Hさんの主張でひとつ驚いたことがある。反日が沈静化したのは日本企業が中国政府と産業界に圧力をかけためであって、中国政府がコントロールしたものではないという。日本はいづれ中国経済に呑まれるという彼の主張と矛盾するが、浮沈の激しい欧州企業に比べるとまだまだ日本企業体は強固であるとの多分に買いかぶった思いが実感として日本大好きのHさんにある。

●イギリスの視野

改造内閣に戻ります。イギリスの高級紙はさすが、よく見ていて麻生外相はリトル・チャーチル吉田茂の孫だとか、靖国参拝継続者とか、安倍官房長官、谷垣財務大臣を含めた次期総裁を占っている。記事から察するにBBCは安倍を、タイムズは麻生を後継者のトップに見ているようだ。

●中国の反日政策、さらに鎮静化?

中国の反応がいちばん興味のあるところですが、人民日報英語版の第一報は拍子抜け。 “Hawkish China critic gets key cabinet post in Japan”『中国批判のタカ派が重要閣僚ポストに』との見出しは勇ましいが、タンタンとした紹介に徹し、コメントはまったくない。こういう反中国内閣だぞ!と説明しておいて、内外の反応をまず見極めてから公式見解を練り上げる魂胆か。それにしてもパっと小泉新内閣を批判できない中国の変化です。ヤル気になれば反日グループを即座にモビライズできる中国がじっと我慢している。小泉さんはそのことを先刻承知で靖国同志を重要ポストに置いたのか、そうだとすれば小泉サプライズは今回も発揮された。(了)

後書き:東シナ海の続き、日本の税金ムダ使いなど、帰ってから書くつもりのコラムを忘れたのではありませんが、タイミングを合わせて新内閣をとりあげました。



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る