安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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海底石油・ガス資源の分配
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〈 Fri, 21 Oct 2005 〉


● 大陸棚ラインとセンターライン

中国は南紗諸島(Spratly Is.)の石油資源をめぐってベトナム、フィリピン、マレーシアと領有権を争い、ロシアはバレンツ海の巨大なガス資源でノルウェーと係争中である。どちらも解決の見通しはたたない。

●南紗諸島は南シナ海の南ハシにあり、小さな、地図では書き込めない小島/岩礁と危険な暗礁があるところですが、見ればわかるように関係国の経済水域中間線(センターライン)の外側、中国大陸棚ラインの外である。ここを中国は軍事要塞にしてしまった。東南アジア各国の海境はどれひとつ妥結していないが、軍事基地を設けて近寄せないのは南紗諸島と西紗諸島の中国軍だけである。

東シナ海の尖閣諸島(釣魚島)も中国は要塞化するだろう。大陸棚はここまで伸びており、近くに資源の可能性があるだけでなく、台湾に睨みが効く。世情煩悩を消して俯瞰すると、無人島の尖閣諸島は地理的に台湾の弧状にある。そして尖閣諸島と海溝で別れる八重山諸島は沖縄琉球列島の続き、という領土分けが座りよいとおもう。地図描きの目にはコーカサスはロシアと離れ、尖閣は台湾、カシミールはどっちでも良いというわけです。

●バレンツ海ではロシア側が排他経済水域(EEZ)を頑として譲らないため、ノルウェー側も負けずに自国のEEZを主張し、互いに重なる部分をグレーゾーンとしてこの域内では両国が漁業権と資源探査をケンカせず行っている。で、このグレーゾンの中間がセンターラインであり、両国の地図には3本の境界が線引きされている。中国の地図よりは良心的だ。実際にグレーゾーン境界線をまたぐガス田開の発生産を始めるとすればどうなるか、既に両国はデータを充分持っているので、埋蔵量に応じた分配方式に落ち着くものと思われる。

●北海はセンターラインで区切られている。イギリス、ノルウェー両国が資源の大半を分け合い、デンマーク、ドイツ、オランダが油・ガスのほとんど出ない区域にあたった。大きな油田はよりによってイギリスとノルウェーのセンターラインに集まっていて、含油層が両国にまたがっている油田がいくつかある。この場合は両側のオペレーターである石油会社がデータを持ち寄り、埋蔵の広がりと総量を予測して採取分を科学的に決める。この分配相談に政府は参加せず企業に丸投げのかたちです。それでいままで問題になったことは一度もなく、当地でも一般に知られていない。不審におもわれるかもしれないが、逐次採取量を互いに報告し、政府は監督していれば良い。政府は割り当てた鉱区から正しい税収があればよいのだ。(了)

次回は東シナ海のガス田、春暁/白樺、天外天/樫など、日中センターライン両側にまたがる資源に進みたいとおもいます。ですが、11月になるのであしからず。明日からのんびり帰省して秋の日本を歩きます。コンピューターに触らず、ネット遊びもお休みします。



Pnorama Box制作委員会

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