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1000万人投票、開票進むイラク
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〈 Sun, 16 Oct 2005 〉
●投票率に不足はない 昨日の投票日はこの1年で最も静かな日でした。投票所の警戒にあたっていた警官二人が路肩ボンブで負傷、市民一人が狙撃兵死の弾で死亡。これだけである。当日はカーボンブができないよう車使用が禁止した効果がでた。投票はすでに同日開票がはじまり月曜日には暫定結果がでる。 予想外はクルドの低い投票率。思うに、サッダムの時代から実質的な自治政府が機能していたクルドでは連邦制の憲法草案に不満だろう。クルド語がアラブ語と並んで公用語になったくらいでは喜ばない。次は独立と考えていた者が多かった。しかし投票した者は賛成が大多数なので、草案承認の障害にはならない。 そこでスンニだ。バグダッド周辺、ファルージャ、バクバ、モスルなどの都市部では悪くない投票率だった。しいかし賛否の割合がわからない。バグダッド北部ではNOがほとんど、ヤトレブでは投票者3500人のうち、YESはたった3人。賛成にまわったスンニの「イラクイスラム党」の影響力は限定的である。 ●アンバル州ボイコットの理由は? 問題は叛乱のゆりかごアンバル州だ。207の投票所のうち140ぐらいオープンできたらしいが、『行ったら殺す』と脅されているので投票率はよくない。草案反対が大多数の地区でみすみす反対票を逃がす武装派はいったい何を考えているのだろう。説明してください。反対スンニ住民の意見:米軍+イラク軍がアンバル州や最近のシリア国境爆撃地区でワザと物々しいパトロールを増やして投票させないという穿った見方。 是非のヴェトがとれる「3州で3分の2の反対」という結果がでるか微妙。この1点に関心があるというのに、肝心のスンニ4州の開票が少ない投票数にもかかわらず一番遅れそうだ。しかも開票結果を巡って論争が起こる州である。全国的には6230の投票所のうち380くらいオープンできなかった。イラクの現状では上々のできばえとおもう。有権者の3分の2強、約1000万人以上が投票した。投票率に不足はない。 ●選挙は『ハレ』の日 投票には誰もがふだんよりいい服装をしているように見える。子供をお人形のように着飾って連れてくる家族がいる。それで思い出したが、むかしステテコにランニングシャツのオヤジがネクタイ姿で投票に行った。そのことを家内に話すと、当地でも昔は一張羅を着て投票に行ったという。そうなんだ、選挙というのは『ハレ』の日なのです。いまでは有り難みが薄れ、文句が多いクセに投票をうるさがる。国民たるもの最低限の義務を果たしませう。(了)
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