安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラク、伊拉克、偉洛、煎裸苦?
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〈 Fri, 14 Oct 2005 〉


●土曜日の投票をまえに

15日(土)はイラク憲法草案にYESかNOか、国民投票の日。とっても大事な大事な日。復興に向かうか、あとは内戦-砂漠となるか、「偉洛」か「煎裸苦」か。真剣に見守ってよいのではないか。ブッシュのためではくて、イラクの未来のためにです。かくいうわたしもイラクの昨今には気が重い、シンドイのである。しかし、それにしても日本国のイラク関心は常規を逸する低さですね。ヤフーの海外ニュースアクセスランキング20にイラク関連がない。

さて憲法草案ですが、いまはすっかりメディアから消えたブレマー・イラク民政官がさよならするまえ、大急ぎで作文させ預けていった置き土産である。それにしてはよくできている。以後これを叩き台に何度かスンニ取り込みのため修正されて、これで行こうときまった草案については8月24日と29日のコラムに連載した。強調したかったのは:連邦制によって、油田地帯をもたないスンニは権益を失うとの神話が国際的に浸透しているが、石油分配は公平になるように規定されている.....という事実でした(読んでくだされ、わたくしは草案をダウンロードして確かめた)。

●投票2日前に修正案

12日、新修正案でイラク統一を保証するといっても漠然としている。スンニ代表が了承するに至った修正妥協案のメインは二つ、▼サッダム政権にたずさわった小役人およびバース党員の公職追放を解く(君も省庁に復活できる)。▼総選挙後に憲法見直し協議行う(改憲の余地に君の活躍舞台がある)。

仲介役の米としては、思ったより軽い譲歩で投票前に各政党が同意してくれたので『イケル』感触を得たようだ。そこへ大アヤトラのシスタニ紙が『皆の者、投票に行け』とダメ押ししたので報道が急に楽観的にかわった。シスタニ師は毎日何十人もの信徒が市場で、モスクで、学校で殺され、目下のアヤトラたちが標的にされているというのに、スンニに反撃するなとファトヴァ(宗教令)を出し続けている。おかげで市民戦勃発に発展せず済んでいるが、師は賢いのかどうか、わたしなら叛乱テロに立ち向かわない指導者は落第だとおもう。

1月の総選挙はスンニのボイコットにも関わらず投票率58%を記録した。アフガニスタンの総選挙(開票結果はまだ)は50%に充たない低さだったが、これは無所属故人候補の乱立で投票用紙がややこしく敬遠された。その意味では今回のイラク憲法草案はイエスかノーか、どちらかにシルシをつけるだけでよい。投票所の治安懸念については6200もある投票所で悪いのはごくごく一部。問題はちあんよりも反対票のヴォリュームである。スンニ政治家は賛成投票を奨励しても、ほとんどのスンニ市民は草案成立を阻むため反対投票に回る。問題はこの反対派スンニの動員力が未知数なこと。(了)



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