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お疲れさま、アンゲラ・メルケル
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〈 Tue, 11 Oct 2005 〉
●喜べないメルケル新首相 メルケル新首相、前途洋々の船出!くらいの景気のよい顔で『やる気』をご披露するかとおもいきや、政権を失った党首のようにしょぼくれている。頭上にあった重石を苦悶の末やっと押しのけ、ホっとした気分より、連日の交渉に疲労困憊の様子がありありでした。話をそらせます:冒頭の一節、古いな〜。いいコピーが浮かばない。糸井重里さんはスゴイ。 メルケルが首相に落ち着いたのはミラクルでもなんでもない。SDPより4議席多いこと、世論の動向からメルケル以外にあり得ない。しかるに交渉はシュレーダーとSDPに主導権を握られ、そのことはウワサされている閣僚の分配に一目瞭然だ。 ●閣僚ポジション、バナナの叩き売り ウワサによればSDPから8閣僚が、CDU+FDPから6閣僚で手打ち、母屋はとられた。しかも外相、大蔵、法務、労働の重要閣僚ポストは SDPが占める。経済改革をマニフェストにして勝利したメルケル側は、姉妹政党FDP(自民党)党首のシュトイバーが経済大臣に就任。苦しい重責だけ保守派に投げられた。 確定するのは今週末の予定だが、上記の線で妥結するだろう。メルケルが首相に、シュレーダーが閣外へ去る見返りにメルケルはバナナの叩き売りよろしく閣僚ポストを売り渡した。首相を手にしても喜べない、さぞ悔しいでしょうね。「全力を尽くす」と、歴史にも党史にも残らない当たり障りのない言葉に終始した。マジメ・カタブツ人間なのだろう。あなたの強みは女性であること、よく自覚してください。欧州久しぶりの女性首相ですぞ。メディアに露出すれば女性は可愛く化けますから、先の楽しみにしよう。 ●シュレーダーのグランドデザイン 後知恵ですが、一ヶ月に及ぶ大連立の交渉が秘密にされ、激論の内容が公表されなかった。したがってメルケルは世論を味方にできず、シュレーダーのプロットにまんまとしてやられたのです。シュレーダーは2年前期首相の野望をこそ潰えたが、SDPの政策継続性は成し遂げた。こちらの方はドイツ政治史に残るシュレーダーの遺産、グランドデザインである。 メルケル新政権がドイツ経済を立て直す・・すべては時の運。居場所のなくなったシュレーダーはまだ61歳、英語ができればEUのトップ職になれるが『誇り高き男』に満足できる職はないだろう。(了)
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