安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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トルコは欧州か?
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〈 Tue, 04 Oct 2005 〉


トルコ人数人の知り合いにも聞いたが、トルコはヨーロッパの一員である意識が強い。宗教はイスラムだが合理的な考え方は欧州であり、歴史的にはトルコで欧州がおわり、その東はオリエントである。

● 英が勝ったトルコの綱引き

EU外相会議が土壇場でトルコ加盟交渉開始に同意した。EU憲法をめぐって亀裂が浮き彫りになった各国国民のEU離れにもかかわらず、この同意はまたまた亀裂が深まるばかり、なぜこんなことをするのだろう?欧州を統一する機構を作るのはのは、たとえば南北アメリカ大陸を一本化するような無理がある。

EUの意思決定はEUのなかで案件の重要さに合わせた委員会でおこなう。国民の意思は問わない。だからあとで国民投票にかけるとひっくり返るのがきまっているような愚かな合意をなぜするのだろう。単純に考えればそうですが、交渉が進んで晴れてトルコがEUメンバーになれるとすれば、早くて10年も先のことだと言う。ま、10年のうちにはいろいろありますから、トルコは欧州の一員として認知されるかもしれない。しかしそれまでにEUが分解することもありうる。

今回のトルコ加盟交渉を認めるか、頭ごなしにドアを閉めるかは外相レベルで決定された。議長国はイギリスの順番にあたっていた。イギリスが議長国でなければとても合意できなかった。次のグラフを見てください。

トルコのEU加盟に賛成する主要各国の人口%

   

●粘り抜いたイギリスの理由

フランスとドイツでは80%がトルコ加盟に反対、主要国ではイギリスが45%で、イギリスのジャック・ストロー外相に議長のお鉢が回ってきたために、得意の文書修正で30時間粘って合意にこぎ着けた。その原動力と理由は、ストロー(=ブレア)が示唆するように、◆多様な移民をかかえる欧州が、いまトルコにNOといえば、EU内の人種問題が拡大する。◆キリスト教国グループのイスラム排他を宣言するにひとしくEUの人権擁護に反する。(トルコは99%がイスラム)◆貧しいといえ年9%の成長率はどのEU国にも勝る。◆ついでにトルコが望むクロアチア加盟交渉もセットにして、トルコを説得

外相会議で反対の急先鋒となったオーストリアはオットマントルコにウイーンを占領されたウラミとトルコ嫌いが徹底していると、後ろでささやかれている。中国・韓国の反日と一脈通じるようですな。準メンバーならよいとするオーストリア案はトルコを2流国扱いしてトルコ人の誇りを傷つけ、トルコでは土下座してまで加盟はゴメンダと6万人がデモに参集した。そんなところから仏独もことを荒立てるより、交渉を始めるだけの合意なんだから頑固しなくてもよいとの計算になったのだろう。トルコはEU加盟の条件をみたそうと、憲法を書き換え、少数民族迫害を取り締まり、涙ぐましい努力を40年も、加盟申し込み以来40年ですゾ、積み重ねてきた。欧州の目から不足だと一蹴するなんて傲慢だ。

●英米対仏独の溝、ふたたび広がる

米はイラク戦争準備のときからトルコにてこ入れし、EU加盟を支持する褒美を約束した。ちょうど米が日本の国連安保理入り支持を約束しいたように。コンドレッサ・ライスはエルドガン首相とギュイ外相に電話して励ました。そういうわけでどっちつかずに眺めているよそ者の意見としては、米英と独仏の溝がトルコのEU加盟交渉同意を機に一層ひろがった。中露に利するだけなのだが。(了)



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