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日本の劇団によるシェイクスピア劇、雑観
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〈 Fri, 30 Sep 2005 〉
作夜は日本の演劇見る。先般は能舞台があり、わたしめは生身の人間が動く舞台が性に合わなくて、演劇、歌舞伎、オペラ、ミュージカルも好きではない。でもまあ、せっかくだからでかけまして、ついでにはねたあとさるところ出資の歓迎会に役者の皆さん方とねばってきました。 劇はシェイクスピアの『トロイラスとクレシダ』。日本語で進行し、ごく簡単な字幕が舞台上にシェイクスピアの古い英語で出る。ストーリーが複雑で、舞台の動きが凄まじく早い。ちょっとでも退屈させないように、しかも2時間でおさめる劇に押し込み、そのため幕替えなしの一幕仕上げだから息つくヒマもない。日本TVのコマーシャルのごとく、わたしらのんびり過ごしている者には、なんというか『せわしない』。しかしタフだなみなさん。躍動するエネルギッシュな舞台には脱帽です。 果たして観客に受けるか、今日が欧州公演ツアーの初日という役者の面々は、終わった後も元気で、大成功とはいえないが成功のほうに振り子が動いた感じ。受ける演技が随所にあって、観客の反応はあった。演劇オンチの私が思ったよりずっとあったということはきっと正しい。演出が外国人にもわかりやすい、ドタバタ要素が入っているからとおもうのだが、それは原作にもあるのだろう。 この『トロイラスとクレシダ』というのはトロイの城を包囲して攻めあぐんでいたギリシャ軍のお話、敵味方に分かれた王子と王女のドロドロした愛憎や謀ごとなど、わたしはまったくしらない。トロイの木馬は登場しない筋書きなのでした。登場人物はユリシーズやアキレス、アジャックス、クレッシーダやカッサンドラ、ヘレンといった人物が出てくるが、これはシェイクスピアの脚色であり、ギリシャ悲劇に出るキャラクターとは趣がちがうようだ。 セリフはシェイクスピアらしい警句、気の利いた比喩や諧謔が真珠をつなぎ合わせたように数珠つなぎになって飛び出す。それを猛烈な早口で、やりとりする。噛んで含めるように説明してもも判ってないヤツがいるというのに……演劇知らずの私見ですが、英語の舞台なら、韻を踏んだ美しい言葉になって、ビシっときまる。江戸時代の近松のセリフが水の流れのようにキマルのと同じデンだ。しかしシェイクスピアを日本語にすると、どうしてもスタッカット風な喋りになってしまう。劇の廻し道化(序詞役)はロンドン下町言葉、この舞台ではベランメエ調になっていましたが、私にはすこし鼻につく下劣な台詞が気になった。 このあと、2日当地で???? した後、オスロ、パリからイタリアを順演する。イギリスを外したのは正解だとおもう。俳優、スタッフあわせて20人を超える劇団の成功をいのります。きっと名の知れた俳優が少なくないだろう。みなさんは、4つの材東京の劇団からこの欧州公演のため結成された『テアトル・デュ・シーニュ』という劇団。日本に帰ってから俳優座でさよなら公演をして解散するそうです。(了) |