安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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石油資源渉猟、中国の戦略
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〈 Tue, 27 Sep 2005 〉


東シナ海ガス田「天外天」生産開始にともない、中国側は途絶えていた日本側との対話再開を表明した。少しでも日本側の反中をやわらげようとのジェスチャーですかな。

●中国の石油投を歓迎する国々

中国海洋石油は金にまかせてユノカル買収を企て、非常識な金額が米議会を震撼させ買収は失敗した。しかしこのポーンと札束を切って投資するあけすけな方法が、中東、中央アジア、アフリカ、南米等の有資源国では歓迎され、ホント成功しているのです。

たとえば、ソマリアは緊急食糧支援と内戦終結が当面の課題、そういう政情不安が最悪のところへ投資する外国企業はない。そんなところへ中国は飢える民をそっちのけで石油権益に狂奔する。死の商人、天にツバする行ないだ。ところがソマリア政府を喜ばせるのです。汚職政府の役人は支援国にああせいこうせい注文され、小麦やトウモロコシ、テントなど物品援助を受けるより、現金が多謝。

日米欧の債権国が取り立てを放棄して破産国をたすけようというときに、さすがちょっと具合が悪いと感じた中国はホトボリが覚めるまで待つようです。そりゃそうでしょう。

ナイジェリア、ナミビア、モザンビークなど石油資源をもつ国で中国はたいへん人気がある。欧米大手の石油企業に開発/生産を委ねているアフリカの産油国は、ひとつには対抗勢力である中国カードが欲しい。日本はいろいろヒューマンな援助や買い付けに熱心だが、石油大臣の日本観はよろしくないのです。

●ストレートな投資で米の間隙を衝く中国

中国は他国の民主化に関心があっては成立しない。相手政府の願いを単刀直入に、武器なら武器、石油があれば長期購入契約、開発共同プロジェクト、パイプライン敷設に札束切るのである。人権や環境汚染はアジェンダにのぼらないため政府間交渉が早く妥結する。もっともNIS諸国はロシアの息が強く、また中国の将来はロシアの石油供給にかかっているので必ず中ロ合同で行なう。

米が中央アジアでやってきたことにも同じパターンが見られる。米はNIS諸国に軍事援助を与え、一方で民主主議を広める米NGOに財政支援を続けてきたが、ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタンは、ゲオルギア、ウクライナはどうなったか。民主化が進まず後戻り始めましたではないか。ウズベクに米軍は出て行ってくれとまで言われて泣きっ面にハチ。

先週、シノペック(中国石油化工集団公司)がウズベキスタンのガス開発を落札したが、これは中露に、韓国、マレーシアを加えた合同プロジェクトになっている。実際はガス輸出分の大半が中国に渡るのであるが、突出を見せない資源確保戦略だ。そうでもしないとお詫び外交が苦しくなる。ますます中国ビジネスは巧妙になり、平行して軍事能力の充実も見逃せません。(了)



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