安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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中国のお詫び外交(1)
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〈 Sat, 24 Sep 2005 〉


石油高と人民元がいまワシントンで開かれているG7財務省・中央銀行総裁会議の主要テーマである。この会議には中国その他の国も部分的に参加する。

● 対立を避ける外交カードとしての人民元

中国は人民元を7月に2%切り上げ、管理変動相場を導入した。これは胡錦濤がブッシュ会談で押し切られないよう訪米前に行なったのであるが、この会談は公式訪問の看板を外されたうえ、そしてカタリーナ被害のためキャンセルされた。このことは米が思っている以上に中国政府にはショックだったようで、その後の中国の外交が急にソフトに変化し、対立を避ける外交に腐心している様子が読み取れる。G7を控え、人民元の通貨取引変動幅を上下1.5%から3%に(但し対ドル0.3%に据え置き)拡げたのも非難を和らげ、協調重視を喧伝したいがためである。

余談:人民元のあまりにも小さい切り上げについて、関西弁で『おちょくるな』と以前かきました。わたしは固定相場の1$が360円だったときに当地に移住した。不肖の子の安月給を円に換算して聞いた母が仰天し、だれかれにもノルウェーへ行きなさいとけしかけたそうな。で、数年経って変動相場に移行した時たちまち220円に暴騰。でもって円建て給料は3分の2以下に目減りしてしまった。ま、母はそのことを知らずに満足して亡くなったけれど……。現下110円として3分の1以下だ。だから言う、日本はあれだけの変動にも関わらず輸出を伸ばしたきたのです。

国連総会に出席した胡錦濤は、総会演説で中国は経済的にも軍事的にも脅威ではないことを訴え、ブッシュとの会談、そのあとカナダ公式訪問に至っては急増するニセブランドやソフトの海賊版、知的所有権などに立ち入って『お詫び外交』に終始した。

●秩序或る輸出は可能か

そういえば、北京で妥結したEUと中国の衣料品交渉は中国側が制裁回避を避けようと輸出超過分を来年のクオータに前倒しすることで妥協した。思い出すエピソードがある:ブレアは北京滞在中に相変わらず人権問題についても中国側に注文した際、席上いつもは内政干渉と取り合わない中国側が耳を傾けてくれたという。コロっと丸め込まれた感はあるが、中国政府は挑戦的な拡大志向を内省しつつある。しかし今後も成長を続ける中国輸出産業が、秩序ある輸出など絵に描いた餅だ。

●6カ国協議は中国の安全保障

今回、6カ国協議を曲がりなりにも同意にこぎつけたのも、激論があったとかいわれるが背景には決裂して米との対決を避ける意図がある。北朝鮮の食糧30%、燃料の70%を支援する中国はその気になればいつでも北に言い含めることができた。米に対するトゲである北を温存してきたが、中国脅威論が増す最近の情勢を危惧したためである。米朝不可侵と平城宣言をわざわざ共同声明に盛り込んだ理由は、このあと6カ国協議が決裂しても、米の武力攻撃に口実を与えないことと、中国が本気で心配している日本の核武装を阻止するため(WP, Charles Krauthammer)である。



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