安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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北朝鮮 "Yes"から"No" へ
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〈 Tue, 20 Sep 2005 〉


北朝鮮の瀬戸際外交も、とうとう立てるだけの瀬戸際がなくなったのか、核兵器と核プログラムを廃棄する決断をした。今回は休会にできない。協議前に米から今回が最後と宣告されていることもあって、忍び難きを忍んだ。そんなところでしょうか。でも瀬戸際を回復すると、すぐ手のひらを返したように新要求を出してくる。

●米、朝のお国事情
核廃棄の見返りに北が具体的に得たものは韓国の200万キロワット送電だけしかない。この電力も共同声明の6項目の順序と内容をみれば北の核廃棄が先行し、それを確認した上で諸々の支援について協議しようという文章だから、果たしてでどのように解釈しているのか一抹の疑惑はあった。。

北はさっそく火曜日『平和利用の軽水炉が前提で、核兵器廃棄はそのあと』と反論した。ブッシュやライスが廃棄の履行を見届けると吹聴しているように感じたのだろ。しかしそれでよいのかも。とりあえず平和的に一つの成果にたどりついいたのであり、もって良しとしよう。韓国は交易解禁とばかり、南北の接近がすすむだろう。悪い事ではない

共同声明に合意した経緯に戻して考えると、北朝鮮の国内事情がよくわからない。先軍を唱えていた軍部が党に主導権を奪われたのか、冬の窮乏に備えなければならなかったのかともおもう。一方、米にも議会からいつまで無駄な協議を続けるべきではない、中国は北に肩入れすると不満が大きい。ブッシュは6者協議がプラスに動いているところを示す必要があった。

またイランの核に対しては打つ手がない。我が道を行くアフマディネジャドは、米はもちろん英独仏とも協議の土俵に上がらないのだから絶望的だ。安保理で決議できるかも不透明。ずるずる傍観するしかない。そんなときに北が軽水炉を先送り議題にしてもよい、核開発を放棄するというのだから、渡りに綱とにんまりしたでしょう。先の事はケセラセラ、北の履行次第ということでまだまだ引き延ばしできるようになった。

●難しい検証
さて、この履行ですが、核兵器を廃棄するところを実証するためには、核弾頭があればそれを解体してプルトニウムをどこか地中に埋めるところをIAEAの監視人に見せる……そういうことになるのでしょう。濃縮ウランがあればそれも、そしてヨンビョンの黒鉛実験施設を更地にする。さらに核弾頭を飛ばせる弾道ミサイルも廃棄しなければならない。ほんとにできるかな? いや、北は11月の協議で軽水炉建設具体化が先だ、と主張する。中国の調停も次回が最後か。

もし廃棄とエネルギー、食糧などの支援を同時進行にするなら、廃棄そのものに時間はかからない。しかし軽水炉なんていまから作っても稼働するのは10年先になるだろう。高いばかりで一基ぐらいで北朝鮮の電力解消にさして役立たない。そんなシンボル的な軽水炉にこだわらず、中国、韓国の原発から送電してもらう方がよほどお得だ。

●不可侵の保証は体制崩壊に発展?
もうひとつ、米朝互いに主権を尊重し、米は核でも通常兵器でも北を攻撃しないという項目がある。このことが北の軍部、国民にどのような影響をあたえるえかが問題だ。すぐにでも攻めて来ると聞かされていたアメリカが来ない。緊張が解け『もう軍隊は要らない、食べ物をよこせ』……体制崩壊アリです。
(了)



Pnorama Box制作委員会

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