安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アフガニスタンのデタラメ選挙
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〈 Sat, 17 Sep 2005 〉


ドイツ選挙と同じ18日(日)、アフガニスタン(以下Afg.)でも下院と州議会の選挙がある。Afg.選挙は大勢が判明するまで半月以上、UN選管の日程では10月10日に暫定結果を、最終結果は10月22日とされる。

●デタラメなカルザイ政府
この選挙はズバリ、出鱈目だ。以下、今夜はデタラメを列記する。この選挙は2度延期され、カルザイ大統領が暫定から正式の大統領に選ばれて1年も経っている。そもそもタリバンを追放して、さてこの国をどうするか、国連をシャッポにして米はボン会議で無難なカルザイを選んだ。で、カルザイ暫定政権が発足、同時にボン会議で議会制民主制度のグランドデザイン『ボン合意』を策定した。この下院選挙も遅れながらそのプロセスに沿っているが、カルザイは議会の設立準備、政党作りの支援を怠った。怠ったというより自己の権力基盤を強くするためには障害物扱いにした。

結果、『人民ジルカ』(下院にあたる、279議席)と州議会(34州、計420議席)に候補者5800人が名を連ね、そのうち70%が無所属である。烏合の乱立、これをカルザイ閣下は民主選挙と宣う。テロ属は立候補を取り消されたが、戦勝組のガン属が一番多い。閣僚に振り分けられた部族長が政党名を登録しているが、名前のような全国組織ではなく一族郎党の域をでない。カルザイはこういう部族長との直談判で自派を形成し、あまたの国際批判に『No,no, we do have a much talking with them...This is the way of Afghanistan.』と、取り合わない。

部族長なり、その部下の武装組織を政治的な党組織に再編成する民主化への一歩を避けたカルザイ政府の勢力範囲は、カブール市内にとどまる。またわが尊敬するAhmed Rashid氏の批評によると、2001年以来のカルザイ政府は水源地ダムのひとつ、発電所のひとつも建設していない。日本ほかの支援でハイウェイが1本完成したぐらい、支援金はどこへ行った。今年の冬は飢え死に凍死まで出している。カルザイ閣下は金将軍サマではないけれど、やんぬるかな。

●選挙制度は進歩的
この選挙には、ビン・ラーデンやタリバンたち、ヘクマティアル、オマルなどの影がちらつく。それにしては選挙妨害のテロは少なく、選管委員や候補者が数人殺されているが、イラクに比べれば天国にちかい。

制度面のプラス面に触れておこう。UN, NATO, USAが議会制度の骨格を作ったため、女性解放/女権拡大に重きをおいた構成になっている。国会で68議席、州議会では各2名が保証されており、努力次第でもっと議席を勝ち取れる。また、海外インテリの出戻り、教員、エンジニアなどクリーンハンドがたくさん立候補していて、これら無所属候補者が協力する全国組織『独立連帯』ができた。そんなやこんなで当選確実のカルザイ閣下には、ウルサイ議会ができたらいいなとおもう。

さて、投票であるが、党なし子の候補者が4000人近くもいるなかで、どうやって国会議員と地方議員をえらぶか。投票用紙は全国で69種類あり(文盲用に絵入りなど)、下院候補者の名前390を列挙したカブールでの投票用紙は7ぺーじ、投票ボックスで一人何分かかりますか。下院と州議会ふたつの投票用紙、しかも男女投票所を同じうにせずですからたいへんだ。女性の選挙登録者が、1年前よりやや増えて約半数に達した。今回の投票率も80%を超えるだろう。任期は5年。上院にあたる『老練ジルカ』は直接選挙ではなく、下院から各派3分の1を選出する。この選挙がおわれば上院もできる。(了)

後日記:
投票率は50%前後と判明。大統領選挙のときは70%台だったが、どうしたことか。予想と期待が大外れした理由は:
1) 乱立する候補者から誰に投票するか決めかねて棄権した。
2) カルザイ選出から1年、何も変わらない政治に失望
3) 選挙法が複雑すぎた。
以上3点、要因はカルザイの政党育成と選挙準備の怠慢にある。



Pnorama Box制作委員会

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