安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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赤いシュレーダーの功罪7年
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〈 Fri, 16 Sep 2005 〉


小泉さんんは解散選挙の賭けに勝ち過ぎた。それより先、7月1日に独シュレーダー首相は前倒し選挙に賭け、あさって日曜日にその答えがでる。この1年前倒し総選挙という妙手は、与党が配水の陣になったとき、首相が議会に信任投票を上程、与党議員にわざと棄権するようにしておいて否決させ、『それでは総選挙を実施する』!と言う手法。手の込んだ汚いやり方だが、首相の解散権を具体化する伝家の宝刀だ。

これはシュレーダーのSPD(社会民主党)が5月にあった或る州選挙で大敗したのに危機感を感じ、伝家の宝刀に賭けたのである。で、その日から与党人気が落ちて、賭けはウラ目に……。あたりまえの反撥民意として当初の支持落ちは想定のうちである。シュレーダーは9月の選挙までに、経済回復と失業対策に有効な説得に自身があったのだろう。


だがそうは問屋がおろさない。シュレーダーはコール首相を破って首相になったとき(1998)、『経済回復と失業対策』を公約に勝ったのである。2002年には『イラク参戦反対』のマジョリティーに乗じて辛うじて再選された。だが成果の方は、冷えきった米独の首脳関係、シュレーダー政権の7年に経済は停滞、失業率は東側で20%を超える。見切りをつけてもよいだろう、政権交代のときとわたしはおもう。 

●首相と外相は全共闘世代
ゲルハルト・シュレーダー(SPD/赤)とヨシュカ・フィッシャー外相(緑の党/緑)は、戦後すぐに生まれた学生紛争の世代である。60年代末、日本の全共闘世代と同じで反米反キャピタリズムにどっぷり染まって拭えない。またそれをバネに政界入りした。これを称して《60年世代赤緑改革》という。

とはいえ、ヒューマンな赤緑社会改革に成果がありました。ドイツ人も認める功績である。たとえばトルコの移民労働者、その家族70万人ににドイツ国籍をあたえ、共稼ぎ夫婦に優しい労働法、女性労働者の権利と保護など。そのためか、移民の暴動がフランスやイギリスより少ない。

70万の移民に国籍を賦与する……これはたいへんなことで、日本に数年住んで働いている韓国,北朝鮮,中国の家族すべてに日本国籍を!なんて言ったら言語同断!一喝されます。こういう移民取り込み政策は9,11以後、グローバルに不可能になった。しかしこの優れた社会政策が、経済停滞と失業率の悪化をまねいた事も事実。先週、フォルクスワーゲンが大幅な人員削減に踏み切ったところである。

●おばさんタイプと口べたで損するメルケル
野党CDU(キリスト教民主同盟)党首のアンゲラ・メルケルについては、パっとしない、東ドイツの市場のおばさんみたい。およそスターになれない風貌が損をしている。TV討論ではシュレーダーに貫禄負け、ブルドッグとチンでは勝負にならない。当初のリードがTV討論を境に日を追って縮小、いまや互角になった。シュレーダーに良い政策はないが、そこを論点にせず、メルケル側の税制改革の弱点を攻撃して有利に立った。

そこでわたしの予想:メルケルが勝つものの野党連合で過半数は難しい。過半数をとれなかった場合の連合をどうするか、組み合わせはそのときにならないとわかりません。ドイツメディアが伝えるように、保革大連合のあり方でシュレーダー3選もありえるし、SPDに内紛が起こればメルケルを首相に大連合する選択もありえる。(了)



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