安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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被災国を誹謗するなかれ
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〈 Thu, 08 Sep 2005 〉


●被災国を誹謗するなかれ
ハリケーンを話題にしたくなくても測り知れない災禍の広がりに、否が応でも耳目にはいる。米メディアはいまだにライブで長時間映像を流し、特番を組んでいて、責任追及に余念がない。こいうとき、図に乗って他所ものが頭を突っ込んではケガのもと。あちらに聞こえない方が無難なのです。だから今日はアメリカ人に聞かれてもコワクないゴシップまがいにしておこう。

というのは、人は遠くの他人のことなら平気で思ったことを言う。日本は地震と台風の国、地震も台風もない国の民ときたら『何を好き好んで然様なところに住むのか、気違い沙汰だ』という。うちの93歳おばあちゃんがそうで、日本で地震ニュースがあるたび孫にも義理の息子(わたし)にも意見する。私だって兄弟親戚あちらにいるんだけど、頓着してくれない。その国の民としてあまりいい気分ではないわ。今度もニューオーリンズの混乱に『気違い沙汰』頻発しておられます。決してガサツな人ではないのですが、かの地の被災人が聞いたら『クソババアァァ』だよね。

●犯罪と自衛の銃社会
バトンルージュでは避難民で人口が倍になり、銃器屋さんではいつもの売り上げ一月分を毎日計上する馬鹿売れ、市民が自衛手段に奔走する。日本人高校生がハロウィンの仮装姿でFREEZ!が解らず射殺された事件が、もうだいぶ前にありました。撃った方は無罪判決が出てショックを受けたようですが、お菓子や果物を貰いに各戸を回るのは小学生までにしておこう。かの地では正しい判決と受け取られている。歴史

略奪、発砲、ギャング横行ばかりか、避難場所の散らかしようったら……これは内輪のはなしです。建国以来の治安の悪さと銃社会は『卵が先かニワトリが先か』ではなくて、一体の双頭の鷲、アメリカそのものである。同時に善意と助け合いの国でもあるのですが。戦後の焼け野原でも神戸大地震でも掠奪はなかった。しかしそういった賛嘆すべき社会がいつまでもあり続ける保証はない。

●オイル高騰のゼロサムゲーム
ガソリン代が落ち着きを取り戻した。石油高騰で利益が急増しているサウジなど、当地ノルウェーもそうだが、石油産出国は《出玉が止まらなくなったパチンコ台》のようにお金が転がり込んでいる。これをこそ吐き出させたい。罪滅ぼしに半分くらい原油高で迷惑している国に納金してほしいね。国連は役立たず、こと石油に関してはただいま介入御法度にあります。

オイルリッチ中東は、財政収支の猛烈な黒字が国内の景気上昇とか産業発展、あるいはブッシュの好きな民主化に寄与しない。特権階級が海外製品にお金を浪費して国内経済の育成や刺激にまわらない。当地では、石油基金がいくら増えようと、取り崩しは予算の微々たる額である。市場に放出すると加熱するので、とはいえこの国の通貨がますますつよくなり、国際競争力は落ちるだろう。観光客が前年より減った統計が今日発表されたが、さもありなん。そうすると、そろそろ上げなくちゃと予定していた超低い金利が、上げられない。チットもいいことないのだから適正以上の儲けは世界石油基金にプールして、フェアプレーの国際機関が……ここで躓くんだなあ。(了)



Pnorama Box制作委員会

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