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イラク憲法のゆくへ(2)
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〈 Mon, 29 Aug 2005 〉
●実質強行採決をウラ口通過
予定通り作成されたイラク憲法草案は、議会に上程されはしたがそのまま採決を一週間延長、その22日がくると3日延長、その25日がくるとまた採決を避けて延長。さすが日を切れずに無期延長としたが週をあけずに議会承認というかたちで決着をつけた。昨日、議会では全条項を長々と読み上げて、シーアとクルドの全議員が承認の署名、スンニがボイコット。実質、強行採決だ。 うわべだけはあくまで対立をさけ、スンニ派のヤワル副大統領が議場欠席したのを、タラバニ大統領が『彼は病気で…』、エヘラエヘラといつもの調子。結局10月15日を期限に国民投票で信任を問う。この動きは前回のコラムを追認するかたちになりました。 その先の予想も、前回とおなじように国民投票で否決、年末に総選挙やりなおしすることになるだろう。『雨降って地かたまる』である。 ●ヤケっパチの囚人釈放、ご機嫌取り この間、スンニの反対を鎮めるご機嫌取りのため何をやったかというと、米に頼んでアブグレイド刑務所の囚人1000人を釈放。1日でいっぺんに千人も釈放した事は今までなかった。今日もブッシュは『イラク指導者はよくやっている』と苦しい賛辞。口とウラハラに米はもうやぶれかぶれだ。 連邦制について、スンニが反対しているのは石油がクルドと、南部の油田地帯をもつシーアに持って行かれるからという意見がある。また石油のない中部のシーア-サドル支持者が持てる南部シーアと政府に攻撃した。どうも解せない。クルドの場合はサッダム時代から事実上自治区であったが、石油資源の利益はサッダムの独裁政権が管轄した。 今度はそれがイラク連邦政府にわたる。油田地帯の地方政府が自由にできるわけではない。ソ連邦でもそんなことはまったくなかった。念のため憲法草案にザっと目を通すと、連邦政府は石油/ガスを算出する地方政府とすり合わせて利益を各地方、各州に公平に分配するとある。資源開発/生産行政についても連邦政府と途方政府が協力して…となっている。 ● 石油-ガスは公平に分配される イラクが分裂し内乱状態にあるのは、決して石油-ガスの取り合いが全てではない。にもかかわらず、何でも石油のせいにするシンプルな理解もどきが内外に定着、嘆かわしい。憲法草案の、その部分の英訳抜粋を付けておきます。 10月の国民投票まで、賛成にむけていろいろな国際支援と努力が活発になる。エジプトをはじめとするアラブ諸国の仲介、国連の投票支援、久々にフランスがイラク和平に乗り出すウワサがある。ドイツは保守のアンジーがシュレーダーを破るのは確実で、早速イラク政策に新方向が示されるだろう。そういう意味では、10月にイラク国民の審判はやってみなければわからない興味がある。 Article (110): 1st - The federal government will administer oil and gas extracted from current fields in cooperation with the governments of the producing regions and provinces on condition that the revenues will be distributed fairly in a manner compatible with the demographical distribution all over the country. A quota should be defined for a specified time for affected regions that were deprived in an unfair way by the former regime or later on, in a way to ensure balanced development in different parts of the country. This should be regulated by law. 2nd - The federal government and the governments of the producing regions and provinces together will draw up the necessary strategic policies to develop oil and gas wealth to bring the greatest benefit for the Iraqi people, relying on the most modern techniques of market principles and encouraging investment. |