安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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スペースシャトルのタイル
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〈 Sat, 06 Aug 2005 〉


スペースシャトルの平らな底部は熱に耐えるよう全面セラミックタイルが貼られている。で、このタイルは大気圏突入時だかその前だかに剥がれるのは初回からあったことですよね。前回まで事故に繋がらなかったので、一般には問題にされなかった。
タイル剥がれは常態で、着陸した機体はいつもあちこち損傷している。それを言うと信じてもらえない。シャクなので昔のニュースを探していて、JAKの漫画にあったのを見つけましてね。

きのう掲示板で予告したJAKのマンガです。1981年4月15日、ザ・スタンダード紙
>あなたの頭に落っこちてきたというタイルですが、拝見するところスペースシャトルがそんなきれいな花柄タイルをつけていると思えませんね<


コメントに、アメリカは最初のスペースシャトル打ち上げた。いくつかの耐熱タイルを失ったにもかかわらず、誰もが安全に帰還できると楽観的だ」と、書かれている。

1981年からコロンビアの事故まで22年間無事だったことが奇跡と厳しい人もいますが、普通では少々機体表面が損傷しても安全に作られている。今回、ロビンソンさんが耐熱タイル隙間の薄っぺらなセラミック充填材が2枚はみ出ていたのを引き抜いた。指でつまんでスッツッと宇宙服着てりゃあなたもできそう。抜き取っただけでしょ、それでディスカバリー修理成功ってオーバだな。ま、宇宙飛行士は希有の優秀な人物ですから黙りますが、抜き取ったあとはそのままでよろしいのでしょうか、そうらしいですね。

コロンビアの事故以来、機体表面をくまなくチェックするカメラを装備しているので、アラが見え見えになる。発見されたコックピット窓下の耐熱保護材が飛び出している損傷は、宇宙で直せるものじゃないくらいシロウトでもわかります。NASAのシャトル計画部長補佐ヘイル氏が『へたに触るほうがリスクある。最もリスクが低いのは予定通り帰ること』。との決定に納得。あれは一種の布でしょ。専門家が再突入の衝撃でちぎれて機体にぶつかっても大丈夫と、そういわれれば素人はだまるしかない。

さて、野口さんたちは宇宙ステーションのゴミを収集して8日地球に戻ってくる。場所はフロリダ-ケープカナベラル、時間は月曜日夜明けである。無事を祈ろう。この時間,日本では郵政法案否決、解散という運びになるのかな。(了)

補追:
●JAK: Raymond Allen Jackson (1927-1997), Cartoonist
●大気圏再投入には複雑な操作をおこなう。絵いりで説明したサイトを絵の番号順に要旨を約しておきました。http://news.bbc.co.uk/1/hi/in_depth/4749393.stm 
1)逆さになって地球の軌道を回る
2)後ろ向きになって噴射しスピードを落とす
3)機体を正常なかたちにしてお尻を下に40度の姿勢で大気圏上層に入る
4)このブレーキ体勢で底部のタイル全面が摩擦熱で部分的に1650℃まで上昇する。
5)スピードが落ちるにつれ、両翼/垂直翼のフラップを使って飛行機のように飛ぶ
6)こうしてシャトルは高度36万メートルより高い位置からマッハ30、入角19度、旅客機よりはるかに鋭角に突入、地球を半周して着陸停止する。



Pnorama Box制作委員会

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