安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ボンブボンブボンブ、狂った夏
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〈 Sat, 23 Jul 2005 〉


●ロンドン警視庁の失態
前日コラムの予想たがわず、射殺された男性はテロと無関係だった。この男性、27歳のブラジル人が頭に5発も至近距離から処刑のごとく射殺された理由は、「挙動不審と不服従」になろうか。誤認というにはあまりにも直情的暴挙であり、発砲警察官の過失ですむ事件ではない。

警視庁報道官は『斯様な状況で命を落とす悲劇』と遺憾の意を事務的に表明した。深々と頭を下げて神妙にお芝居するよりはるかに爽やかで、わたしはそれでよいとおもう。要はIndependent Police Complaints Commission (IPCC) による内部独立調査を厳正におこない、処罰を疎かにしないこと、それがスコットランドヤードの名誉回復につながる。しかし次のひと言"We are now satisfied that he was not connected with the incidents of Thursday, July 21, 2005."はよけいだ。いかにも英国風でいただけない。

不幸中の幸いは射殺された男性が南米出身だったこと。もしイスラム系ならロンドン在住の数十万のムスリムが反撥するのは必至、抗議集会から騒乱へ、その規模はちょっと予測できない。コトランドヤードはブラジル人だったことでホっとしているでしょう。

私感をすこし追加すると、夏でもコートを着ている年寄りは以外に多い。夜出勤/朝帰りの市民は厚着する。特に異様でもない。警官の制止を聴かず袋ネズミの地下鉄駅におりる犯罪者なんてバカがいるか?電車がちょうど発車する確率はノーザンラインなら7分間隔の5秒だぞ。しかも駅までのバスに警官3人は同乗しているのある。バスを爆破しなかった男がなぜ地下鉄なら爆破すると思うのか。武装警官は再三のストップを無視されてキレたとしかおもえない。

●エジプトのリゾート爆破
CNNでおなじみのコマーシャル:アイーダのメロディーをバックに「いつも太陽の輝くレッドシー・リヴィエラ」という優雅な映像。熱帯魚や大亀やイルカと戯れるダイバー、高級ホテルやアパートが立ち並び。テロ同時爆発があった保養地シャルム-エル-シェイクはその代表的な外国人の保養地として開発された。欧州やアラブの金持ち目当てであるが以外に安く、当地では学生にまで人気がある。それにしても自爆カーボンブ2台と鞄の3カ所で同時に、空爆並みの規模である。死者は100人を超すだろう。

シャルム-エR-シェイクと第一報を耳にして、「あれはロードマップ発足4者会談の場所」だぞ。単なる外国人を狙ったテロではない。ピラミッド観光の外国人を標的にしルクソールのテロ(1997年、日本人グループも犠牲になった)や、同じシナイ半島の東側付け根にあるイスラエル人リゾート客を狙った昨年のテロとも様子がちがう。死傷者は観光地で働くエジプト人が最も多かった。市場のバス停爆破などは地元のエジプト人が標的だ。ムバラク政権を揺さぶる政治的モチーフがある。

急遽かけつけ、検分と負傷者を見舞ったムバラク大統領は、爆発音が聞こえるくらい近くの別荘で夏休み中でした。ホントですよ、地図で地名を確かめるクセのある私の取り柄ですわ。

エジプト、サウジのテロ対策は荒っぽさにおいてロンドン警視庁の比ではない。エジプトは翌日すでに35人も逮捕している警察国家である。今後もテロは頻発するだろう。狂った夏はまだ始まったばかりです。(了)



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