安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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北朝鮮に軟化したワシントン
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〈 Mon, 11 Jul 2005 〉


●北の主張は不変、米の態度軟化
北朝鮮が今月下旬に6カ国協議に復帰する。『復帰はない、米朝の妥協点は見いだせない』と言ってきたわたしは毎度キマリわるいのですが、協議再開は朗報である。言い訳ではいぞ、ひと言説明させてもらいたい。

今回の復帰はアメリカの北朝鮮ポリシーが変わったので、北の主張は従来と変わっていない。アメリカが歩み寄った結果である。米が矛をおさめるとは思わなかった。しかし環境の変化によって、はじめて実質的な進展がみられる協議になるだろう。合意文書ができるとおもう。

米の態度軟化を示す兆候はブッシュ2期めから言葉遣いを慎み出したこと。金正日を「圧政独裁者」と呼んでいたブッシュが「ミスター・キム」と敬称付きにした。そりゃないよと思ったが、こういうときの気持ちって、清水の舞台から飛び降りる決意がいるでしょう? 真剣でなきゃ云えない。

●圧政の前線基地から主権国家へ
北を"Outpost of tyranny" 圧政の前線基地と国務長官就任早々の演説で名指したライスは、北の謝罪要求にこそ応じていないが、あれ一回きりでした。代わりに攻撃の意図はない、"Soveregn state" 主権国家であると認める発言があいついだ。

北が執拗に要求していた朝米2国間協議には絶対応じない、あくまで6カ国協議の場でと言い張っていたのに、今回は協議のあいだに米朝会談が行われる。米の腰くだけを印象づけるかのように朝鮮中央通信がそう得々と発表している。

米朝個別会談ではでかなり詳細な経済支援項目リストを北が持ち出す予定。米は6月の米朝接触でこれこれの支援をしても良いと打診しているのだから、ムゲに刎ねつけられない。次回につなげる方針。ライスのいう『今回の協議は"Modalities"(手順)』の意味は、核の問題とともに、大きな声に出さないが、経済支援の量を示し次回につなげることにある。

で、この核と核開発の完全放棄が、朝鮮半島非核化というテーマに様変わりしているではないか。北は「核保有を宣言した事によって同等の立場で交渉できるようになった」と鼻高々、北のチャチな核で同等とはこれいかに。ではあっても北の意図としては韓国にある米の核撤去と引き換えが条件になる。互いに検証を言い出したら合意できるかしら。

●除け者にされた日本
コンドリーサ・ライス長官が北京を去るにあたって 言いました:"I felt the South Koreans had some very useful thoughts, and that's something I'd like to follow up with them when I'm there." 『韓国がたいへん良い考えを持っているので、韓国訪問ではそのことを相談したい」。御意!北朝鮮のことは韓国にまかせておけ。 

しかし、ライスさんが中国の仲介に丁重に礼をのべ、韓国の意見に耳を傾けるという。そのまえ日本へ来て、小泉さんは「今回、拉致を取り上げるのは止しましょう」と迫られますな。おもしろくない。しかも10日の朝鮮中央通信で日本だけが米朝仲介に寄与していないと非難している北京発記事があった。アハハ、まちがいない、でもおもしろくない。

余談:新任のヒル次官補が実績をあげている。強い国防相とネオコンの時代に苦労したすえ寂しく去ったジム・ケリ−次官補を憶うと胸が痛む。



Pnorama Box制作委員会

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