安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ロンドン テラー
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〈 Sat, 09 Jul 2005 〉


● マドリードからロンドンへ
オリンピック候補地にマドリードが落ちたのは、犠牲者191人を出した2004年3.11の列車爆破テロが心理的に影響した面があるとおもう。ロンドンがパリを下して勝利決定の知らせに沸いた翌日、地下鉄連続爆破テロが起ころうとは……イギリスの昔語りにはないけれど、七夕の日でした。ボンブが冷や水程度なら開催地へのイヤガラセですませてもよいが、この同時多発ボンブは世論のとおり「G8サミットに合わせた挑戦」である。

死者の数が発表31人のころ、あるニュースが最大75人にのぼるだろうとはじき出した。これを書いている現時点で51人、行方不明者を入れると60人にりそうだ。地下鉄テロでは過去に東京のサリン事件、モスクワ地下鉄駅での爆発事件がある。とにかく暗い地下のトンネルで起こるボンブは逃げ道、救出作業を考えると日のもとで起こる事件よりおそろしい。

●窮屈なチューブ内   
チューブと呼ばれるロンドンの地下鉄は対向車と複線になっているところより、方向ごとに単線の場所が多く、そこでは文字通りチューブの中いっぱいに小さい電車が走る。両側に人間が歩ける隙間がやっとあるかないかである。また各線に冷房がなく、夏,満員になると暑くてこれがまた汗臭いのです。夏、時間があるならバスにします。

とはいえ、通勤人は毎日定時に出勤する。また地下鉄はロンドンを動くのに欠かせな便利で早い市民の足だ。無差別市民殺害を実行するテロリストにとって、通勤地下鉄はソフトターゲットの最たるものです。防ぎようがない。 原理主義者の考え方では『羊(一般市民)がいっぱいいるのにどうしてトラ(政治指導者)を攻めるのか』という論理になっている。

爆発のあった Paddington, Kingユs Cross, Liverpool Street など、少しでもロンドンに滞在した人ならおなじみのところである。

●犯人像、ロンドンのイスラム原理主義青年
今回はバックパックに入れた爆弾が4コ、最後の一個は地下鉄封鎖の後、ダブルデッカーの2階後部で爆発した。マドリードのようにケイタイでリモコン操作して起爆したのか、時限爆弾かハッキリしないが、犯人はバックパックを置いてから隣の車両に移動したにちがいない。地下鉄で大事故がおこると直ちに「コード・アンバー」と呼ぶシステムが発動され、走行中の全車両が最寄りの駅で乗客を降ろす措置がとられる。このため実行に遅れた犯人が地下鉄に入れず、バスを爆破したといわれている。

サリンでもマドリードでもそうだが、凶行一件につき3人が実行にあたるとすると、ロンドンでは実行犯だけで12人、ボンブ、起爆装置やら計画準備など総合すると犯行グループは30人以上と予想できる。ロンドンベースの「アルカイダ・ヨーロッパ」といわれる。ま、地元ロンドンのジハード青年組織だろう。反英をアジっていたシェイク・バクリのような考え方はイスラム青年に多く、はんこうグループの大半はロンドンを離れない。半年以内にイモヅル式に逮捕されると、勝手におもっています。

ロンドンに住むアラブ・イスラム系は人口の10パーセント。どこかの国と違ってこれを契機にイギリスが反イスラムに走ることはないが、この人たちは肩身がせまいだろう。 (了)



Pnorama Box制作委員会

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