安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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アフリカの貧困とG8の政策貧困
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〈 Tue, 05 Jul 2005 〉


● 借金棒引きと支援倍増
G8サミットの準備がはじまった約1ヶ月前くらいから、議長国のトニー・ブレアがアフリカ、アフリカと声をあげるのを、なぜアフリカが主要議題になるのか、エヴィアン・サミットではアフリカの代表も参加して支援憎を決めたではないか。またぞろ議題にするまでもないだろう。どうもブレアの情熱がピンとこなかった。

貧困撲滅の支援に借金棒引きと支援金倍増を訴えるブレアにG8各国がそうやすやすと賛同しないだろう。ブッシュとワシントンで会談したときもブッシュは良い返事をしなかった。ムリだろうと興味が持てなかったが、仏独がそのつもりであった事が判明、ブレアと歩調を合わせた。すると借金棒引きよりアフリカ各国の自力更正を支援すべきだ、とシブッテいた日本はいつのまにか賛成派にまわって……。そして先週はブッシュがアフリカ支援の演説をぶって、これは米が主導すると云わんばかりにアツク変身していた。

●ブレアとブラウンの二押し
英の指導力を印象づけた議題設定であるが、はじめブレアが言い出したとき勝算があったのだろうか、英政府内ではゴードン・ブラウン蔵相が以前からアフリカ視察に熱心で、ブレア以上に本気で取り組んでいた。フランスはアフリカとの歴史的絆があるので当然同調するとしても、ドイツはどうして?あとのメンバーは世論に推されてのことだろう。

借金棒引き、支援倍増したって貧困アフリカがよくなるなどと無邪気に考える首脳はいない。「ライブ8」の連中は論外、あれは国際同時エンターテインメントのショウ以外に意味はない。

●上から下までの腐敗根絶が先決
たとえば、シエラレオーネには大量支援がなされているが、あいかわらず最貧国である。ここへ送られた医薬品は95%が途中で消え、末端の診療所に届くのは5%、それほど汚職腐敗が上から下までゆきわたっているのである。ブレアは支援金、支援物資の配分プロセスを透明性をセットに実施すると強調するが、さあてね。

このありがたい話しがアフリカではさして人気がない。あたりまえだ。別に棒引きしなくても踏み倒すのになんの呵責も覚えないアフリカの指導者たちに返済免除をあげても特に感慨はないだろう。もっぱらの関心事は支援倍増にいくら奮発してくれるかだが、正確な額をあげるところまではサミットで一致していない。かなりの増額分は空手形になりだろう。

かつてブラジルが破産財政に陥った時、IMFの借款や債務国への返済を棒引きしたり,延長する措置がとられた。いまブラジルの経済が立ち直り,景気が感心するほど上向いている。かといってアフリカとブラジルでは条件がまるでちがうのでこれをもって好例にあげるのはミスリードだ。

●その他
もう一つの議題、地球温暖化、温室効果、気候変動のテーマは米の京都議定書不参加のままで、テクニカルな合意が出来そうである。すると大気汚染のワルモノ=中国とインドが排ガス規制にせまられることになります。オモテに出ろい!ちゅうわけ。

シラクとシュレーダーがプーチンを訪問してベランダで談笑中の会話がマイクにキャッチされ、英米を肴にしたシラクさんのトゲのあるジョークが公衆に知られてしまった。チャールスが王子たちに、記者団の悪口をつぶやいているのをマイクに拾われた話題になったが、『シラク、おまえもか』!
でも、これしきのカゲの罵倒はみなさん身に覚えがある。影響なし。 

一番気に入った発言:カダフィがアフリカ連合AUサミットで『アフリカは西諸国に物乞いすべきではない』。(了)



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