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マーク・フェルトを庇った上司の悔恨
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〈 Tue, 28 Jun 2005 〉
●ナイーブだったパトリック・グレイ
ウオーターゲート事件の秘密情報源だったマーク・フェルトの上司・グレイ元FBI長官が『ショック、騙された、ハンマーでガツンと頭を殴られたよう。フェルトがボブ・ウッドワードに情報を漏洩したのは、長官への昇進を拒んだニクソンへの復讐が動機』と、ABCのニュース番組で次のように語った。発言を合成すると:''This was a tremendous surprise to me, like I was hit with a tremendous sledgehammer. I could not have been more shocked, and more disappointed in a man whom I had trusted. He told me time and again he was not Deep Throat." 「フェルト氏私感」を掲示板(2072)に書いたのは、雑誌 Vanity Fair に情報源が掲載された直後、翌日である。その一部分: 政府から最もおそれられたフーバー長官の後任にニクソンがNo2のフェルト氏を外して、政府内からパトリック・グレイを指名した。FBIの独立性が失われる危機感、それもあるが人事に横槍したニクソンへの復讐が動機だろう。 実際、FBI情報をホワイトハウスにある程度上げており、そのかわりフェルトら幹部にいいように扱われるナイーブさが災いした。大筋で私感のとおりでした。 ●悪玉が勝者に グレイ長官はホワイトハウスの内部極秘書類を手渡されて自宅で焼却処分している。この書類のなかに盗聴器を仕掛けた犯人の電話番号があった。また偽造と思われる音声テープでJ.F.ケネディがベトナム戦争時ゴ・ジンジェム暗殺をほのめかしたものや、エドワード・ケネディが大統領選に出馬するなら握っているスキャンダルがあると脅した偽の手紙などがあった。 グレイ元長官はこういう伏魔殿の政界に入ったことを一生の不覚と後悔し、辞任してからニクソンと絶縁したという。フェルトばかりかニクソンとその腐った側近たちにミスリードされたという怒りが、88才になったいま、政治的ではなかった法律家グレイ氏の煩悩は忸怩どころか憤死せんばかりである。一方、国家反逆罪の可能性を時効で逃れたフェルト氏は自伝や映画の版権の前金でいまや億万長者だ。なかば痴呆症で微笑んでいる。 ●ジャーナリストの情報源秘匿にワク 米連邦最高裁は月曜、記者の情報源秘匿に関して「国家情報に関しては憲法よる特権とは認められない」とする判断を示した。いかんせん、ウォーターゲートには遅すぎた。(了) |