安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ド・ビルパン初の施政方針演説
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〈 Thu, 09 Jun 2005 〉


●強気の首相の独り相撲
8日首相就任後はじめてド・ビルパンが国会演説、内政問題に取り組む真剣なところを見せました。個人的にはまじめくさったイヤな印象かわらず。今日ばかりは満席の国会議員も野党にかぎらず苦りきった表情で聞いている。フランス国民の信頼を100日間で回復すると、そんな大それた宣言をした首相の失業対策と景気対策の中身はなにか。チラっとダイジェストニュースを見る限り自信家ビレパンの独り相撲におわったようだ。

●国家小改造論
要旨をざっと読むと、目指すフランス社会モデルにはアメとムチがつがいになっているのに気づく。雇用促進と景気回復に邦貨にして七千億円を来年度予算に追加、同時に政府予算をインフレ率内に据え置くという。そのかわり所得税カットはできない。

フランスの失業率はいま10.2%、長期失業者には再就職する場合1000ユーロを進呈する奨励策をあげた、そのかわり職安紹介の妥当な仕事を断る者にはより厳しい罰則を適用する。10人以上の企業に対し、一部の税制を撤廃し役所手続きを簡略にするなど優遇策のほか、従業員を解雇しやすいよう労働法を改める……これはhire-and-fireと呼ばれるデンマークモデルだ。仏では労働組合の反撥を招くこと必至、いいのかな。

シラク支持率24%のドン底にあって、政策実行できるの?効果はあるのか何処までも不透明だ。途中から信頼に翳りが増したような施政演説である。

更迭されたラファラン首相は年金など社会改革案を多く提出したが、国民の反対を盛り上げただけでことごとく廃案にされてしまった、フランス人は口をあければ「景気対策」を一番に所望すること日本人以上である。公務員の年金が減るような改革案は絶対に通らない。そのあたりをビルパンは慎重だが、死に体の政府に協力する雰囲気ではない。

●反アングロサクソン
ド・ビルパンが言った:『フランス国民はは欧州憲法を否定否決したが、フランスはなお欧州の中心にある』。やれやれ難儀よのう。フランコ−ゲルマン動力車が故障したいま、フランス論壇はブレアが欧州ヘゲモニーを取るのではないかと疑心暗鬼なのである。(了)

●付録

デンマーク モデル アングロサクソン モデル
就労率
75.1% 74.9%
人口増か率
0.34% 0.28%
失業率
25歳以下では欧州最低 4.8%
GDP/c
344万円 317万円
最高税率 フルタイム労働者の40%近くが最高税率63%の範疇にある。 年収700万以上の最高税率該当者が40%を占める。



Pnorama Box制作委員会

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