安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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Nee Nee EU憲法
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〈 Thu, 02 Jun 2005 〉


●絶対多数で否決したオランダ
EU憲法是非を問うオランダの国民投票は63%の反対で予想通りの結果になりました。こうして現実に審判が出ると、ピッタリ予想通りといえ重い。決定的な多数であり、投票率はフランスより一段とすくない60%だが、フランスのNonでどうせ死文化した条約などどうでもいいと、投票をさぼった有権者が多かった。さぼったのは反対側が多数であることを考慮すると、いかにアンチEU憲法が強いか、もう鳥肌がたつくらい。オランダはフランスと共にEU発足イニシャチブ6カ国のひとつなのです。火付け役が火消しにまわたかっこう。

しかも先にフランスが否決したので『EUを壊したのはうちのせいだけじゃない』、妙に安心して否と言える。こうなると次々伝染して予想より多い国が否決するかもしれません。

●敵はブリュッセルにあり
オランダの失業率は6%台でそう悪くなさそうだが、4年前から倍になっている。感覚として悪い。しかし経済への不満はフランスより少なく、EU大国が決める政策に振り回されるフラストが国民以上に政府に鬱積していた。それだから政府のキャンペーンが憲法の説明と周知に力点がおかれ、どこか投げやりであった。反対票はフランスのように政府に向けられたものではなく、ブリュッセルEU本部である。したがってオランダ政府は入れ替わらなくてもよい。

●EUは未完の大器、負けも多い
予定の国民投票を凍結する国が出るのはしかたがない。しかしこれで欧州連合は「ガラガラポン」なんてことはおこらない。既に9カ国が批准しているのであり、加盟25カ国全人口のうち賛否の比率ができることなら明らかになった方がよい。適切な次のステップの踏み台として必要だろう。

間違ってならないことは、総じてEUは成功し発展してきた。EUとしての一元外交は(個人的にソラナは嫌いだが)定着している。ユーロはドルに次ぐ国際通貨としてその地位は不動だ。推進したい国は数から言えば圧倒的多数であり、無視する訳にはいかない。仏蘭の否決で明らかになったこと:
 1)欧州国会や欧州大統領を作る憲法はまだ機が熟していない。
 2)労働市場の自由化になんらかの歯止めが要る。
決して破滅的なんかじゃなく、じっくり腰を据えてとりかかればよいのです。問題は自分の代で成果を焦る老害政治家にある。

当地ノルウェーは保守党と労働党が2007年の加盟申請を目指して懲りずにキャンペーンに励んでおられる。Show must go on!

さて、EU首脳会議が行われる6月16-17日を注視。欧州憲法について、残りの各国が批准プロセスを続行するか、期間延長か、ご破算か、何らかの決断がくだされるはずだ。シラクさんの権威失墜がどう響くかも興味あります。(了)



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