安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ブレア3期めを決める。
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〈 Fri, 06 May 2005 〉


●出口投票でブレア労働党がリード
投票の出口調査ではブレアがリードしている。確実にな開票結果はいまこれを書いている段階で半日さきだが、調査の通りならブッシュに続いてイラク開戦組が再選を果たすわけだ。わたしの予想は外れっぱなしである。「戦争を始めた大統領,首相は落選する」。チャーチル、サッチャーを見よ、ル−ズベルトは歴史に違反する例外だったはずだが……。

しかし、ブッシュ支持、ブレアにべったりファンを自認する小生にはまことに慶事です。相当議席を失った模様で、161あった議席差が60〜70議席に、これは激減といってよい。過半数を占めれば政権党にかわりないというものの、ブレアの指導力は格段におちるだろう。もう3期目ですから年令が若いといっても未知の可能性に欠ける。要するにちと退屈なのです。

勝因を私流に考えると、選挙を5月5日と決めて発表したのが一月前、おそらくブレアはその間にイラク移行政府が軌道に乗って治安回復、復興が目に見えるようになると先読みしただろう。反対の多いEU憲法は国民投票を後回しにして、有利に選挙を戦えるとそろばんをはじいた。

であるのに、イラク治安はどんどん悪化し、選挙日前は二桁の50人とか20人が死ぬ毎日である。しかも開戦の法的正当性に疑問を呈した法務大臣にあたる人物からの書簡を握りつぶした(言うほどたいした事件ではないが)とバクロされ、ハワード保守党党首が鬼の首でも取ったように執拗に責めまくり。ブレアをウソつきと糾弾した。

●ケリーの二の轍を踏んだハワード
ここでいつもながら感心するのですが、ブレアは絶対負けていない。これが田中マキコ氏のような論理なき言葉のおもしろさを狙った反論であれば人心はいっぺんに離れるが、ブレアの弁明はやましい言い訳でなく誠意を尽くした反論である。そのうちにウソつきと言った側が信頼を失うようなハめになる。

実際マイケル.ハワードは『将来の政策がないので、開戦の正当性ばかり問題にする」とブレアに見透かされたように、争点をイラク非難におきすぎた。弁舌が非常にうまく議論・演説は立て板に水、人格高貴だったハワードが、まさしくジョン・ケリーがやった失敗をなぞってしまった。気づいたハワードが国内問題に争点を移して追い上げたが残念。そうですね、あと2日あれば逆転したかも。増えるべきだった保守党票はケネディの自民党に流れ、労働党票の減った分もケネディが取り込んだようだ。

●ゴードン・ブラウンの台頭
労働党の勝因はブレアとゴードン・ブラウン財務相の二人がセットになって選挙戦に臨んだこと。わたしの印象ではブラウンの顔がなかったら負けていたように思う。ブラウンの得票率が際立つだろう。ジャック・ストロー外相はイラクの問題を表にださない方針で出る幕がなかったがストローの人気は落ちていない。ブレア政権トリオは健在である。(了)



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