安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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日中首脳会談は中国の完勝
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〈 Mon, 25 Apr 2005 〉


しばらくご無沙汰でした。チェコは昨年からEEC加盟国である。ホテル部屋のTVはCNNとドイツの衛星民放が入り、ニュースを遮断した旅行環境は望めない。ある日、夕方おそく美味しくて安い料理とワインで機嫌良くホテルに戻ってTVをつけると、Koizumi apologied over wartime acts なんてニュースがとびこんできた。

『おやおや、またやっちゃったか小泉さん、村山・海部さんたちと同じレベルだな』。会談を渋った胡錦濤に会うための条件だろうと検討はつくが、日本の首相が会いたいと申し出て返事を渋る首脳に会わなくてよいのだ。チンチンするなど見苦しい。

●演説マニュスは良いけれど
そのあとレセプションのところにある客用PCで小泉演説要旨を読んでみると、AA会議の場でアジア諸国へのアピール『とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えた』とするdeep remose(深い反省)で特に中国にお詫びしたものではない。平和と国際支援に貢献する日本の姿を大いに吹聴してもいる。しかしながらメディアは記事になる中国に謝罪した一点に集中する結果になり、つまり日本の間違った歴史観を批判した中国の反日デモには尤もな理由があった、そういう雰囲気が国際的に醸成されるのです。わかりきったことでしょう。村山・海部効果よりなお悪い。

小泉さんは外交がへた。古いコラム『痛恨の日朝会談』は金正日の唐突な拉致邦人帰国許可に動転した小泉さんが面妖な共同文書にサインして禍根を遺した。拉致問題は矮小に終止符が打たれ、経済制裁も消えた。今回の反日デモは中国政府が危機感をもつほどになり、反日サイトの封鎖、反体制の文筆家やジャーナリスト、学者の逮捕に拍車をかけ始めた。まさに日本が点を稼げる外交チャンスであるのに、みすみす歩み寄るとは重ね重ね失敗。だから『またやっちゃったか小泉さん』なのである。

●圧政に変身する胡錦濤
胡錦濤はSARS対策でもたつく江沢民を尻目に事態をオープンにして矢継ぎ早な責任者罷免と海外支援を受け入れたあのころとは人が変わったように、全権を手にいれてから国民への締め付けを厳しくしてきた。それだけ国民の人気がなく政権維持に荒っぽい手段を辞さない。共産党のなかで育った人間胡錦濤の行動にほかならない。北京での最初の反日デモはこの締め付けにたいする自発的な鬱憤ばらしといえる。

つづく日中首脳会談はの完勝ですね。中国側の5項目の提案に小泉首相が賛同した旨を中国で大々的に報道しているそうだが、さもありなん。デモ集会を怖れる中国政府の宣撫である。日本の閣僚や議員さんが団体で靖国参拝したことに激怒した胡錦濤が会談の後異例の記者会見を開いて『行動で示せ』と開きなおったがあれは後で考えると中国国内向け宣撫用だった。だから寝た子をおこす議員さんの靖国参拝には触れていない。いろいろご苦労なこってす。

●2005年は中国不穏の年
不甲斐ない小泉首相、中国の完勝にも関わらず平然としているわたし。今後の中国を俯瞰すると、あの国は難問山積みで国の存亡がかかっているほど重体なのです。人民元切り上げまたは変動制への圧力、中国との貿易不均衡は米、欧州ともにガマンの限度に達した。中国の経済脅威が現実味を帯びて今年は中国を徹底的に検証するジャーナリズムが流行する。当然中国の人権、環境破壊、都市と地方の格差、人口問題、資源消費、軍事費の増大、一党独裁共産党体質、言論統制、ネット制限などなどに研究レベルから一般向けレベルでメスが入る。

そういう国際ニュースを統制するのは容易でない。さらに中国共産党政権にとって破壊的とおもわれる情報機器として、ケイタイがある。わたしはケイタイ使わないので気がつかなかったが、ネットのようにサイトを封鎖できないケイタイは言論統制に致命傷とといわれている。国際ニュースを受信するケイタイが中国でいづれ爆発的に普及するだろう。(了)
   



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