-------- ----------------------------------
桂冠詩人の作『春の婚礼』
------------------------------------------
〈 Sun, 10 Apr 2005 〉
まず前回コラム>●ウインザー・チャペルが最後の試練<で、チャールスとカミラの二人が祈祷書の懺悔部分を読み上げると書きましたがウソ。早とちりでした。謹んで訂正いたします。
家内とロイアル・ウェディングをライブで見ていて、こんな会話になりました。会話は上品に脚色いたしました。 私:二人が罪の許しを読み上げるそうです。 妻:(ジロッッと)ふつうに会衆唱和します、ノルウエーの記者は何もしらない。 私:(ここでも言われてたとは知らなんだ)オレは英語ニュースで読んだよ。 妻:記者はどこでも同じ。 で、見ていますとあのくだりは式次第に沿って司式の大主教と会衆全員が唱和する。な〜んだ、いつものミサと変わらんではないか。あとで誓いの短い言葉を二人が唱和したが、未来志向で過去の懺悔など関係なかった。 このデタラメソースは我ながら腑に落ちなかったので>これは会衆が唱える頌栄または個人的な祈りとして、わたしも慣れになっているが、・・<と書いておいたのです。この方面は元宣教師の伴侶に確かめるべきだった。 さて、式次第は国鉄列車ダイヤのように正確に進行し、予想外に打ち解けた雰囲気で、実にけっこうでした。女王さまはニコニコ顔で父君は愛好を崩し、王女アンさんまで笑っている。生まれつきブスッとしたアンが微笑むなんて尋常ではない。奥ゆかしくエレガントなカミラさんの衣装がよく似合う。明日から英国メディアは二人に好意的な記事に振り子が揺れるのは確実です。国民の二人への支持率は50%へさらにアップする日は近い。 チャールスもカミラもスキャンダルに苦しめられたが、反論しなかったのは立派。二人とも神経が太くタフだ。これからの王室に欠かせない資質です。 ●『春の婚礼』 桂冠詩人アンドルー・モートンが、ロイアル・ウェディングに寄せて作った詩です。 Spring Wedding I took your news outdoors, and strolled a while In silence on my square of garden-ground Where I could dim the roar of arguments, Ignore the scandal-flywheel whirring round, And hear instead the green fuse in the flower Ignite, the breeze stretch out a shadow-hand To ruffle blossom on its sticking points, The blackbirds sing, and singing take their stand. I took your news outdoors, and found the Spring Had honoured all its promises to start Disclosing how the principles of earth Can make a common purpose with the heart. The heart which slips and sidles like a stream Weighed down by winter-wreckage near its source - But given time, and come the clearing rain, Breaks loose to revel in its proper course. 諸々の非難や論議、スキャンダルの渦を昇華する大地の普遍原理がとても人間的に唱われている。この詩には愛や忍耐や喜びという言葉は何処にもない。 「スリップし、流れのように蛇行する心」なんてギクっとする。 想いもよらない表現がよく出るもんですね。「影の手を差し伸べるそよ風 を聞く」は説明できないが、先の条件文(難解)との対比で感覚的にスポっとはまる。 音、色、匂い、時間と空間、毀れと新生………と希望。わたしがコメントすれば平々凡々になるが、読めば読むほどすてきな詩です。チャールス皇太子とカミラ・パーカー・ボウルズの結婚について、自分の言いたかったことをこの詩でみつけた。 なお、各節二行めの最後と4行めの最後が韻を踏んでいるので下線をつけておきました。(了) |