安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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すべての道はローマに通ず
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〈 Thu, 07 Apr 2005 〉


●一般弔問はバチカンを誇示するショー
きょうもバチカンの話題を非スピリチュアルにまいります。月曜日に一般弔問がはじまってから100万人が遺体にお別れをすませたが、6日行列は道路幅いっぱいに2キロ、雨の中を14時間も並んでその根気に圧倒されるというより呆れる。

聖なる意図ではじまった公開弔問が、次第に「博覧ショー」化したように思う。敢えて疑問を呈する『バチカンは影響力を誇示するため遺体を見せ物にしたのでは』?それぞれの居住地で追悼するように勧めてしかるべきです。夜行列では脱落する者も相当出ました。わが経験からローマには商店やビルに借りれるトイレがない。行列に飲料水を差し入れるのはよいが、あとの面倒もみてあげてよ。

●奮闘するローマ市長
『すべての道はローマに通ず』と申しまして、まだ200万は新手が押し寄せてくるのをローマ市長はどう防ぐか。一時間に1,8000人を通過する割合で進むと、葬儀までに終わりようがないわ。バチカン市国は法王庁内を警備する美丈夫衛兵*を有するだけで、警察業務はイタリアが、日常はローマ市警の管轄です。ローマ市長には降って沸いた災難です。たとえばブッシュがくるだけで、数ヶ月前から下見やら分刻みの移動計画を両国で練って準備万端を整える。それを、群集整理と200人の要人警護をぶっつけ本番でヤレ!。新しいことわざ『ローマは7日にして成る』。

●列席者の顔、ヒットは陳水扁総統
葬儀に参列したい各国VIPがあまりになるためバチカンは公式弔問団を5人までときめた。米はブッシュ夫妻とライス長官、パパブッシュと再手術したクリントンの5人、すでに遺体と面会した。なぜか「人権のカーター」さんが外されておるのです。本人が一番参列を望み、J.パウロ二世と最もウマがあったカーターだったが……。ほかにもある。カトリックのE.ケネディなどピッタリだが、私的な上院弔問団に混じって参列する。こういうところで画然と差が出るものですね。

変わり種はハタミ、アサド、クレイといったイスラム国家のトップや、ダライ・ラマ。次期法王への肚づもりかアフリカと南米から大挙という感じ。大ヒットは Chen Shui Bian 陳水扁総統の参列OK。欧州で台湾を承認している国は一つとしてない。バチカンだけが台湾を承認し中国とは団交している。明日8日の葬儀は台湾にとって願ってもない舞台になるでしょう。(了)

衛兵*:バチカンの衛兵のユニホーム、あれめちゃめちゃに目立つのです。ところどころに立っているのが、遠くからパっと目に入って、強烈な濃紺とオレンジの太縞が鮮やか。衛兵は全部スイス人で若くて背が高い。昔の法王様はイタこうを信用なさらなかった。昨年バチカンへ行った時、衛兵だけは気に入った。そこであのデザインは、ミケランジェロが画いたという。昨日初めて知って感嘆。大寺院のピエタとモーゼの二つの彫刻、シスチナ礼拝堂の天井画「天地創造」、それにこの美丈夫衛兵……バチカンのみるべきものはこれにつきる。地下コンベに行ったってしょうがない。
   



Pnorama Box制作委員会

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