安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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コンクラーベは根競べ
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〈 Mon, 04 Apr 2005 〉


●アカーエフ正式に辞任
ロシアへ脱出したアカーエフ大統領が暫定政権と辞任を含む4項目の合意書にサインした。モスクワのキルギスタン大使館でタケバエフ国会議長が率いる議員団との会談ですみやかにきまった。ロシアに身を寄せたからにはプーチンの意向に従わなければならない。月曜日にも退任式がおこなわれるもよう。合意した3項目が明らかにされていないが、アカーエフが歴史的な合意と自賛するところをみると、個人的希望条件……免責、家族の安全保障、財産を没収しないことなどが認められたようだ。ともあれキルギス正常化へ、障壁がひとつ除かれた。

●多難なポスト ヨハネ・パウロ二世
土曜日、死亡発表のあと、ペテロ広場の群衆が司祭の祈りに会わせて一斉に膝まづく光景は胸をうつ。小生はカトリックでないの私感ですが、恒例の木曜ミサでも祝祭日のミサでもこのような光景はなかったとおもう。

自発的に映画「ラースト・サムライ」で、勝元の自決にあわせて敵味方とも平伏するシーンがあった。あれを連想しては興ざめしたが、あの映像をTVでみなかった人は映画のシーンから想像できるかも。翌、日曜日の追悼ミサには10万人が、道路まであふれている。

しかし、人の世はめまぐるしい。保守的モラルのバチカンがパウロ二世の死でリベラルに向かう。方向転換は避けられないとする見方が公然と出回りはじめた。その方向で次期法王は誰に? この問題は故法王のパーキンソン氏病が明らかになった2年前から表面化してきたが、当然のこと。というのは、法王の死は法王庁(バチカン)のトップ職、閣僚はいったん辞任、 再任命されるか新人が登用されるかは新法皇の権限である。

●コンクラーベは『根気競べ』 
故法皇は葬儀や、新法皇選挙まで死後のスケジュールを記した綿密な書類を9年前に作成、シスチナ礼拝堂で行われる伝統のコンクラーべ(枢機卿による教皇選挙)で決めるようにと、後継者をほのめかしさえしていない。立候補や選挙運動は一切禁止である。世界中から80歳以下のカーデイナル117人がバチカンに集合し、下界と隔離された状況でカンヅメになって投票を重ねてゆく。ケイタイ禁止、テレビラジオも禁止、こまごまと故法王の遺したマニュアルに書かれているそうです。 
ある邦字紙が『新法王選挙への参加資格を有する枢機卿の大半は、ヨハネ・パウロ二世自身が任命しており、同二世同様、保守色の強い後継指導者の誕生は確実とみられる』とかいているが、これはおかしい。コンクラーベ117人のうち114人が法王指名による。別の言い方をすれば『不適切な3人』だけ指名したのと同じ。法皇はわざと後継者推薦を避けたのです。なぜなら、推薦が効を奏して選出された前任のパウロ一世は30日で心臓発作で突然死亡したため次期法王を推薦できなかった。ジョン・パウロ二世は推薦も選挙運動もないコンクラーベで選ばれたのであり、これを踏襲しようとしたと考えるからです。

誰をえらぶか、各カーデイナルは公表できないゆえコンクラーべは予想不可能なのである。投票ごとに絞ってゆき、最後にのこった二人が決選投票ってこともありうる。故法王も選ばれるまで無名でした。傾向として当たりそうな条件はトシヨリでリベラル、できれば今度はイタリアン……でしょうか。枢機卿にだってぶっちゃけた話しはある、長生きされると困るんだ。(了)
   



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