安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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タルタル湖のコンバット
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〈 Thu, 24 Mar 2005 〉


● 組閣にとまどるイラク
イラクについて、選挙の成功で「よし」としたまましばらく遠のいておりました。予定ならすでに新政府組閣にはいるはずなんですが、クルドの権利主張が強く、のびのびになっている。16日やっと開催された国会は『顔合わせ』でおしまい。つまんない。

トップは大統領がタラバニ(クルド)、ジャファリ(シーア)は首相に落ち着く様子にかわりない。はわたしが選挙前に書いたとおりです。閣僚はシーア派が半数を超え、4分の1をクルドが、残りをボイコットしたスンニとトルクメン、クリスチャンで分ける。シーアでは少数ながら40議席をとったアラウイ派が閣僚ポストを有利に得るもよう。と、まあ4月に向かって徐々に固まってきた。選挙をボイコットしたスン二の政党・宗教グループが、一致して憲法制定のプロセスに参加する決定をくだした。このようにおおむねレールにそって進んでいるが、見誤ったのがキルクークの問題だ。

●キルクークとクルドの要求
選挙が終わったらキルクーク争奪戦がおっぱじまる。クルドがスンニから奪還する、キルクークの石油はクルドに属する。うるせえ、トルコへ追い出すぞ!などと過激なネット議論が在米中東人の多いニューヨークのさるブログで盛んでした。

キルクークはクルド自治区に近く、イラク最大の油田地帯でサッダムがクルド人を追い出しアラブ化した町である。現在、クルドゲリラが実効支配していて比較的おちついているが、反乱軍の石油輸送パイプ爆破はこの地帯が最も多い。やっと最近収益分配で話し合いがつきそうである。

●武装派基地を急襲
久々イラクを取り上げるのは、はじめてコンバットらしい敵と撃ち合う古典的コンバットがあったからです。22日、サッダムの出身地チクリットの南にある反乱武装勢力の訓練キャンプを米軍と240人のイラク特殊部隊が急襲、85人を殺害した戦闘があった。昨日反射的に書こうと思ったが、パっと飛びついて戦争好きとおもわれたくないし・・書けなかった。神経ほそいのです。

米軍とイラク特殊部隊にもかなりの死者.負傷者が出た激しいコンバットである。キャンプはタルタル湖という沼地にあり、まさしく泥沼の銃撃戦だ。おびただしい銃やロケット、訓練指南書、自爆用ベルトやカーボンブにつかう爆破装置を仕組んだ車が見つかった。捕らえられた武装団の国籍はイラク、フィリピン?、アルジェリア、モロッコ、アフガニスタン、サウジやシリアなど近隣アラブ諸国という。

●イラク市民の情報提供と協力
20〜22の3日間で反乱軍死亡者は128人にのぼった。明らかに反乱軍の形勢は悪くなっているようだ。これはイラク治安部隊や米軍に武装勢力の動向について、市民の通報、協力が多くなったことが大きな理由である。これまで占領軍を嫌い反乱軍を庇ってきた市民の意識が、一月の選挙があってから変化してきた。楽観は許されないが、選挙前に比し、テロの数は夏までに半減するだろう。

すくなくともラムズフェルド国防長官は自信を深めている。古いヨーロッパ発言は間違いなかったと訂正したり、トルコの空軍基地使用の約束が直前に拒否されたため、サッダム残党を取り逃がし、トルコの拒否がイラク戦後の混乱を招いたと発言。御意!北から地上軍を投入したときは残党どもが雲隠れして後の祭り、誰のせいだ、トルコだ。ラムズフェルドはやっとモノが言えるイラク戦後になったのですね。エルドガンもユーシェンンコもEUに入りたい一念でイラクを見捨てる軟体、肝に銘じておこう。(了)
   



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