安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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Wolfenson から Wolfowitz へ
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〈 Thu, 17 Mar 2005 〉


●世界銀行総裁にネオコン大物
世界銀行WB総裁はアメリカ人ときまっている。これはもう日銀総裁が日本人であるようなもので動かせない。大戦後米の資金でできあがった買収不可能な機関です。ブッシュ大統領が次期総裁にウルフォウィッツ国防副長官が適任だと記者会見で、世論が喜ばないのを承知の上で発表した。泣いても笑っても次期世銀総裁は、7月からでしたか、これで決まりですな。

当地の時間で16日16.45にブッシュがプレスブリーフすると前もって放送があり「ウルフォウィッツがノミネートされるだろう・・・けしからん」ってな不満やるかたないコメントがあった。発表に先立ち、例によってブッシュは各国首脳に事前に知らせて協力を求めたが、どなたも応援すると言わなかった。小泉さんはなんと答えたのか知りませんが、シラクは相当おカンムリ。当地ノルウェーの開発国支援大臣のヒルデ・ヨンソンさんは口をつぐんでいる。ショックなのだ。ヨーロッパ各国と相談・調整して統一見解をだすそうです。

●ヨーロッパ愕然
ブッシュの世銀人事にヨーロッパの評判は芳しくないどころか、ガックリきている。イラク侵攻を進めたネオコンを代表するタカ派のウルフに、どうしてヨーロパが賛成できましょうぞ。ブッシュ2期めの出発に際し、欧州との関係修復キャンペーンを行ったのが、そもそも欺瞞なのです。是々非々でよい、そのほうが独仏も気が楽だ。プーチんなんか一貫してそうしている。

かといって、欧州が世銀人事に力があるわけじゃなし、国際通貨基金IMFの専務理事は欧州人という「棲み分け」にしたがい、粛々と許容するっきゃない。しかし驚いたな、というのは現総裁のウォルフェンソンは3月はじめにEUブリュッセル本部で『ウルフォウィッツ米国防副長官は総裁レースから離脱した』と、発言したばかり。ヨーロッパは喜んでいたのだ。有力候補といわれたヒューレット・パッカードのメッキが剥げた前会長フィオリーナのほうがまだ我慢できるというわけです。

●世銀をブッシュドクトリンの前哨地に
ウルフォヴィッツはケイザイ畑の経験がないと懸念する人がいる。え!要りましたっけ?ウォルフェンソン総裁は信託投資銀行の出身だが、10年ちかく総裁の任にありながら評判よくなかった。後任に心良く考えているらしいフィオリーナさんの件では、『女性の進出可能性は私の見るところフィフティー・フィフティー』だって、そいじゃ意見になっておらんつうの!

世銀は銀行にちがいないが資金を融通する政治機関、重心はつとめて政治的である。どの国どの部分を助けどの部分を見殺しにするか、冷徹かつ援助をうける政府の政策を左右できる機関である。『自由と民主主義』の信徒ブッシュが、ネオコンの大物を世銀トップに指名したのは、なるほどブッシュドクトリンに叶っていた。あと知恵でなっとく。

だが、それこそが国際組織を私的に利用するとして反対したい気持ちは、ブッシュOKの小生とてある。貧困対策や開発支援に携わる多くの組織は中立、非政治的であるべき、ブッシュドクトリンを適用されるとこまるのだ。さきにボルトン国務次官を国連大使に起用したことといい、国連はショックをかくせない。世銀のお得意であるアフリカ、中東、南米の窓口官僚は恐々だろう。国連、アフリカ、中東、南米にショック療法……必要とおもう。ウルフォウィッツWB総裁に期待する。(了)
   



Pnorama Box制作委員会

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