安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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反シリアの「大返し」100万人デモ
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〈 Tue, 15 Mar 2005 〉


●エスカレ−トするライバルデモ
きのうの続きです。反シリアと親シリアのデモ動員力競争はエスカレートするばかり。3月8日の親シリアデモが50万(最近50万で定着した)、これに対抗してきのう月曜日、反シリア側100万人がベイルートの殉教者広場に集結した。100万とはすごい。どうだ!といわんばかり、驚いた親シリアのその倍である。

写真はデモ隊の一部が国旗を彩ったところ。旗の真ん中にレバノン杉があしらってあるところから、反シリア独立派の運動を『杉革命』という。もっとも親シリア側もおなじ国旗を振るので写真をみただけではどちらかわからない。ただし、赤白赤の線がはいったスカーフは反シリアがもっぱら使っているようだ。

 

余談:革命には年代や国名にかぎらずしばしば象徴的な名前で呼ばれる。ウクライナの「オレンジ革命」によせてレバンは Cedar Revolution(杉革命)は米メディアの創作であ
る。樹木名に因んだ革命といえば、プラハの春は「樫革命」とよばれた。これはブレジネフにひねり潰されたドプチェク(樫)大統領に由来する。 樫の木は倒れた。杉の木は?

●親シリアの「大返し」
さて、月曜のデモは、ラフード大統領が嘆願するように禁止令を出していたが、親シリアのラフードとカラミ首相に抗議する人々が聞く耳もつはずがなく、なす術も無い。しかしなぜクリスチャンとスンニたち野党独立派が100万人も集結するのか、ひとつはラフィク・ハリリ殺害4週忌にあたり、事件の時間を期して黙祷する追悼会、真相究明を求める集会として、表面上ラディカルではない平和デモであったこと。二つめはシリア軍の撤退が確実になったことで「もう一押し」できる状況になったことがあげられる。

また、カラミ首相再指名は独立派にすれば、売られたケンカである。黙ってられない。シリア情報員が都市部の要所に設けていたチェックポイントがなくなったところがでてくると、コワさが消え気が大きくなるものです。現況は、ここでデモの群衆に政府軍が発砲すれば一瞬にして内戦に逆戻りするまことに危なっかしい段階にある。

このまま進めば撤退の日程がおくれる。タイフ合意とか規則をたてに遅れる。カラミは火曜にやっと組閣を終わるそうで、しかし暫定首相に撤退の取り決めを締結する資格は無い・・とかスミを突っつけば遅らせる理由はいくらでも見つかるだろう。ニッポン放送の焦土作戦みたいなもんだ。

評議員の任期切れが5月31日、それまでに選挙が終わるかいまとなっては定かでない。シリア軍は5月いっぱい、現政府の要請を理由に一部は残りそうだ。

●動き出した亡命者たち
亡命者たちはどうしたかと思っていると、やはりイラクのように亡命帰国者の新政府樹立を画策していました。そりゃ当然ですよね。まずミシェル・アウン将軍、1989年ハラウイ大統領に解任された反シリアのリーダーで90年にロンドンに亡命した。近々仲間とベイルート入りするそうだ。『自由レバノン』というご本人のオフィシアルサイトはここ:http://www.generalaoun.org/(了)

   



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