安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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レバノン内閣総辞職に沸く民衆を信じるか。
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〈 Tue, 01 Mar 2005 〉


●ハリリ爆殺から2週間
レバノン内閣が突然総辞職、突然の空白。民衆ほう起のまえにあえなく沈没したカラミ首相はどういう人物かというと、爆殺されたハリリ前首相がシリアよりのラホード大統領に抗議辞職してから5月に予定される総選挙まで、ツナギに指名された親シリア派である。ツナギ……まその程度の人である。あれから4ヶ月、混乱のままなにもしないうちに全閣僚を道連れに辞職へ逃げ込んだ。そのまえに仕事ができないと辞任した閣僚もいたから、やめたくて自発的に賛成した大臣もおおかっただろう。

28日の評議会はまずハリリに黙祷を捧げてから、色も心も無い言葉「政府が国のためよかれと願う者の障害物になってはならない。ここに内閣は総辞職することを宣言する。神よ、レバノンをまもりたまえ」、これじゃなにがいいたいのかわからんが、シリアに軍撤退を言えなかった人の作文だ。議場は与党も拍手喝采。野党の不信任動議が審議中といえ、とにかく唐突でした。総選挙を前出しするとか策はなかったのだろうか。

民衆蜂起とは一国を変える力を現代も持っているものですね。他国の干渉支配を脱し、民主化の夢に人々が燃えると警察や治安軍ではどうにもならない。ウクライナで警察が傍観したように、レバノンでも警備隊はデモの制止に笑い出すほどおざなりだった。こういうものは一部学生がやると警察や治安軍は遠慮しない。女子供まで全階層が加わることが条件だ。

ゼネスと禁止令にベイルートは事務所、工場、商店が休業するなか、日曜日から人々は街路で泊まりこんで月曜日「殉教者スクエア」で25000人が気勢をあげていた。総辞職のニュースに群衆は驚喜するけれど、レバノンの未来にそれほど自信があるのだろうか。お祭りになった夜のベイルートはサッカーW杯に優勝したどんちゃん騒ぎにみえてしょうがない。

●民衆蜂起の無責任な部分
大衆運動はつねに無責任な部分が、個人として無責任で便乗する連中も多い。『つぎはラホードとバッシャーだ』、エミール・ラホール大統領とシリア大統領のバッシャー・アサドを次の標的にすると叫んでいる。米はさっそくレバノン民主化の動きを歓迎した。

シリアはレバノンの内政問題ととりあわないが、14000の駐留軍を国境ラインまで移動させる。撤退はレバノン政府の要請があってからになるらしい。しかし、国際的なハナツマミになったシリアは、事件のたびに犯人扱いにされるようになった。テルアビブ自爆テロ、ハリリ爆殺に関わっていると、こんなのユダヤ陰謀説とかわりない 。

サッダムの義兄弟とその一味(イラクの反乱テロ組織に財政支援の黒幕とされる)を、先日シリアが逮捕しイラク側に引き渡した。米の圧力に歩み寄っているのである。 

今後だが、大統領が総辞職を受理,同時にケアテイカーとして現内閣が首班指名と組閣まで仕事からはなれない。在米レバノン大使は数日中に組閣されると言うが、野党の同意がえられるのか疑問。野党は5月の総選挙にむけて選挙法改正を目指す。日程はさておき、レバノンの未来は? シリアの影を断ち切った政府ができても、なにも解決しない。(了)
   



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