安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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消えゆくアラファトの側近古参たち
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〈 Sat, 26 Feb 2005 〉


●エレカトはもういない、♪もういないったらもういない♪
イラクより一足早く、パレスチナ移行政府の新内閣が24日きまった。エレカトが去った。なんとまぁ目出たい!小躍りして喜び、しばし呆然、脱力感さえ覚えるほどでした。昨日は本職多忙(ほんとです)もかさなり、どっぷり腰をおしつけ、しみじみ飲んでいつしか眠る。

振り返ればキャンプデーヴィッドのまえからイスラエルとの和平テーブルにチーフ・ネゴシエーターとしてまた情報相としてTV最多出演、パレスチナのにっくき顔でした。一方的主張をまくしたてるアラファト好みを演じる主席交渉員エレカトは、わたしの最も嫌悪する同時代3バカのひとり。

アッバスが首相になってはじまったロードマップ和平案では、エレカトが外されたが、アッバスの抗議辞任後にエレカトが返り咲き。まぁたか、アラファト=エレカトのラインでは和平交渉ありえない。で、アッバス暫定自治政府になってからも、奇異なことにエレカトはまだ主席交渉員の座にあった。アラファト残党を排除できないアッバスとクレイの新体制を最初、疑問視したのでした。

あれから4ヶ月近く、あれよあれよという間にアッバスは武装派グループをてなづけた。その手腕で今回、アラファトの側近腐敗閣僚を一掃なるか、期待がもてた。とはいえ組閣は首相のクレイに実権がある。最初の閣僚人事案 では新閣僚がたった4人、旧態依然たる人事にファタ若手が反対、アラファトの古参汚職者を指名しないよう突き上げた。

●新人17名のテクノクラート内閣
そして24日あらためて提出された新内閣、首相+23人の顔ぶれは……新人が17人、ほとんどがパレスチナの政府機関で働いていたサラリーマン、ファタ派に属するが政治色のないその道の専門でいわゆるテクノクラートである。パレスチナ評議会(国会にあたる)は、賛成54、反対12、棄権4の賛成多数で同日承認した。エレカトを含む7人のアラファト古参が脱落、残った古参といえるのはクレイとシャースくらい。

クレイ首相は外相シャースを副大統領兼情報相に残したのが唯一の達成で、評議会メンバーであるのはこの二人だけ。アッバス議長も腹心のナビル・アムル情報相を閣外に失った。しかし顔ぶれとしてはいい。ユセフ警察長官が内相に就任、ガザ地区の実力司令官ダランと治安面を担当する。この二人はイスラエルに信がある。

変わり種では、ベツレヘムのクリスチャン、バンダク氏が観光相。中東ではめずらしい女性大臣が二人。外相にはアラファトのおいキドワ国連大使が起用された。これは能力本意で縁故のひいきではない。

新政権のトップ3人、アッバス、クレイ、シャースはオスロ合意の立役者だった。目の黒いうちに中東和平を実現したいだろう。まずは7月の評議会議員総選挙でファタ古参の再進出を阻止できるかが焦点となる。(了)

追記:以上書いたところで自爆テロのニュース、テルアビブで死亡4人負傷者50名。楽観できませんね。
   



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