安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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レバノンはユーシェンコのいないウクライナ
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〈 Sat, 19 Feb 2005 〉


●金持ちケンカせず
ハリリ氏は如才ない企業経営者らしく、典型的な『金持ちケンカせず』、首相になってからも暴力嫌いの温厚な領袖だ。レバノン内のパレスチナ難民がヒズボラたちとイスラエル攻撃することを『父祖の地を取り戻す難民の戦いをどうして禁止できようか』と同情的なのである。

さらにシリア軍14.000人の駐留について2001年のBBCハード・トークでは治安に必要、適当な時がくれば話し合うと答えている。この番組は暗殺の翌々日に再放送され、それを見て金持ちケンカせずの鷹揚さだけではないぞ?この人は人類が共有する価値観を基礎に、対話に絶対的な信頼をおく政治家とお見受けした。締めくくりに目を据えて語ったシリアに託す夢は迫力あった。わたし感動しました。
レバノンの財政が再建できるとしたら、ラフィク・ハリリより他にない。ハリリがいなければ後はドングリの背比べのレバノン政界がこれからどうなるか、「いざ鎌倉」にドングリたちはおろおろするばかり。自分たちの真相究明では民衆を慰撫できない恐れがさきにたち、国際調査団にお願いするようだ。とりあえず中立スイスに現場科学検証を注文した。

●ポスト ハリリはユーシェンコのいないウクライナ
米、国連が国連決議1559によるレバノン駐留のシリア軍撤退を要求する。現政府は葬儀の群衆にビビってちょっと待ってくれと困惑『イラクが米軍を必要とするように、レバノンにシリア軍が要る』とウマイことをいいました。でもここはやっぱりシリア引くべきだな。ベイルートはキエフのオレンジ革命とおなじ状況になった。団結した民衆に外国軍が発砲したらどえらいこってす。


国家存亡の危機に直面すると、それまで相争っていた各派が突然団結する。棺が安置されているアミン・モスクはハリリが大嫌いと公言した人まで、党派を超えたあらゆる階層の人々が訪れ、政争に忙しかった各派がさかんにユナイトを叫び、実際平和的な統一運動がめばえている。ハリリを失ったことはまさしくレバノン存亡の危機に準ずる大事件なのでした。ウクライナがロシアの画策を刎ね返したようにレバノンがシリアの「属領状態」から脱却できるか、なんとも頼りないが、国民の意思はホンモノだ。擬似的危機状況を演出して団結を強要するどこかの国とはちがう。

ウワサによると、事件直後にシドニーへ向かったオーストラリア旅券を持つシーアのレバノン人6人が、スンニであるハリリ暗殺の容疑者らしい。オーストラリアにはアルカイダ組織があり、インターポールに捜査要請したという。いくらでもあるウワサの共通項はスンニとシーアの主導権争いにおちつく。イラク然り。「イスラムは歴史をもたない」と、ハタと膝を打つ説を唱えた研究者がいるが、するとシーアvスンニの抗いは業・宿命……そのようですね。(了)

おまけ:シラクさんが友人ハリリの葬儀に公務を途中できりあげて参列した。「私人」としてお参りされたが、はて、大統領専用機は公費でしょッ。でもとてもヒューマンな一面が好きでシラク嫌いのわたしはだからコンチキショー

   



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