安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ベイルートはアラブの歌舞伎町
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〈 Fri, 18 Feb 2005 〉


●中東イメージにそぐわないレバノン
昨日の続きです。レバノンにはアラブでありながら、西欧化した戸惑うイメージがある。中東のパリとよばれるベイルートの町並みは並木こそ小さいが新ピカのビジネス街、ブランド品ブティック、ショッピングセンター、高級アパートが立ち並び、観光パンフはグロッシーです。最近ではスキー、グルメなどリッチなレバノンを紹介するCNNのコマーシャルに食傷気味でした。

9.11があってから、旅行業界がガタ落ちになった。このときベイルートだけはリッチなアラブの観光地として大繁盛,その豪華な遊楽ブリに目を見張ったものだ。欧米に嫌われたアラブの金持ちは海外でのウサばらしにこぞってベイルートへ行った。ここなら笑顔で受け入れてくれ、ディスコバーがたくさん、レジャー産業がある。石油リッチな国はショッピングとレストランは超一流でも戒律があって堅苦しくていけません。イランやトルコはアラブでないので落ち着かない。ベイルートはアラブの歌舞伎町なのです。

サウジやクエート、カタールのお嬢様たちはクリスマス休暇にヨーロッパと変わらないベイルートでハメをはずす。レバノンは中東でめずらしい半分キリスト教国家なのでニセものでない雰囲気がある。しかもシリアやヨルダンの王政とちがって、議会制民主主義の国、中東の金融センターと書いてある。

●内乱を引きずる虚像
しかしこの姿をマに受けるお人よしがいるから商売になっている部分はさておいて、虚像であることは皮膚感でわかるだろう。内戦時代はキリスト教、ドルーズ、スンニ、シーア、PLO,ヒズボラなど、各宗派、部族、シリアやヨルダンの支店のごとき武装集団が互いに指導者の拉致、殺害報復合戦を断続的に20年ちかくひきづってきた歴史がある。停戦後ハリリ首相が持ち前の馬力で再興に腕をふるい、長期政権を安定させた10年にホコロビもあった。

ベイルートの美しいアパートは一般市民に高すぎてアキだらけ、ハリリの顔で集めた借金返済が滞り、汚職を取り締まる機関が汚職する国。水面下では内乱が渦巻いていただろう。誰が何の理由でハリリ前首相を暗殺したか、葬儀の群衆が叫ぶ犯人はシリア、シリア軍撤退要求である。シリアよ寄りの大統領に抗議辞職をした氏が大統領選に出馬するのを防ぐためと言われている。一方でスンニのハリリ氏が.シリアの要求する野党取り込みに失敗し、みずから野党の立場になった責任をシーアのレバノン軍が処刑したとの憶測もある。(続く)

訂正:前回葬儀委員長は次男と書きましたが長男でした。交通事故は息子のひとり。また国葬を断わり、政府側の参加にノーといったのは家族の要望で、他日の弔問は受けた。なお、長男が父に代わって政界に出馬する。いずこもおなじですな。
   



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