安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ブッシュ2期めのアジェンダ(4)北朝鮮
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〈 Sun, 13 Feb 2005 〉


“We are working closely with governments in Asia to convince North Korea to abandon its nuclear ambitions.” 
「アジア各国の政府と緊密に連携し、北朝鮮に核への野望を捨てるよう説得している。」


以上、一般教書でブッシュが北朝鮮について述べた対外政策はこれだけ。演説の2日前にはリビアのウランは北朝鮮製たったことが世界に知れ渡っていたにもかかわらず、それにも触れず。だが、この1行が今後の対北朝鮮外交を100%示している。核を放棄しなさい・・6カ国協議を気長に続けましょう・・北との2国間協議には応じません・・とする従来の方針を変えていない。というか、変えようにも極東問題では中国の存在が大きく、米の単独行動が不可能な地域である。

●北朝鮮を護る中・露・韓
イラクとは事情がことなる。サッダムのイラクは国連の経済制裁をうけ、ウラ取引きによる利害関係はあったが後ろ盾がいない「孤立」した国である。一方、北朝鮮には体制変革をのぞまない中国とロシアが背後にいる。中国は朝鮮代理戦争を戦った因縁から、金親子の保護者でありつづける。また、商売熱心な韓国はすっかり北を友好国扱いしてくださるわ、北は 頼りになる兄貴分中国と兄弟分韓国、話のわかるプーチンに護られて強がりしています。

10年前、黒煙減速炉をめぐって「米朝枠組み合意」ができたころ、北はたしかに孤立していた。合意により、米韓ほか日本もお金を出して軽水炉建設(KEDO)を始めたが、北はコッソリ核開発をつづけてきた。それがバレてケドが中止され、その間の燃料支援も凍結された。それからだ、中国がやおらのりだしてきた。重油燃料をはじめ食料、肥料、セメントなどを中国が供給して北を支えた。と同時に中国の改革開放政策、一党独裁体制を維持したまま経済自由化政策を正日がトライした。なにしろ中国が二桁のGDPをあげて急成長していた頃だから、あやかりたい気持ちは想像できる。ついでに確実に失敗するだろうと楽しみにしたのだが。

●6カ国協議は金政権崩壊までのつなぎ・・・
小生も含めて体制崩壊はちかい!と自信たっぷりでした。ブッシュは手詰まりのまま、関係国を揃えた「6カ国協議」を体制崩壊するまでの時間稼ぎにたちあげた。だってフセインで頭がいっぱいでしたから。時間稼ぎと見破ったケリー上院議員が北と直接話し合えとブッシュに迫っていたが、あれは正論。とはいえ協調をモットーとするパウエルは「米朝枠組み合意」で騙されたあの2番煎じは飲めなかった。

●崩壊しない金政権と狂い始めた6カ国協議  さて、案の定北の通貨改革、個人の自由商い、経済特区など経済自由化は緒についたところで歯車がまわらず米の思惑通り、金がコロぶとおもいきや、ここでまた中国が自由化ノウハウを指導して金体制の歯車がまわりだした。金正日の肖像画やバッジが消えつつあるのは、中国のデンに倣ったのであって、正日が弱くなったのではなかったわけ。韓国はせっせと北向けビジネスを伸ばしています。16日間でソウルが火の海になる話をする人もいなくなった。なんですか、ノムヒョンの韓国では日本の天皇を、日王に改めるんですって。

6カ国協議の足並みはすっかり乱れたが、米になにができる?ネオコン系の論客は未だに、つい最近も金体制がつぶれて中国が併呑するというシナリオを披瀝しているが、暴論。コンディ・ライスが知恵を絞っても、国際信義に沿った6カ国協議継続をポリシーなるお題目にするしかないのである。リアリティーは厳しくシンプルだ。

●北の無期限延期声明
木曜日に北朝鮮が出した声明「核兵器製造」と「6カ国協議の無期限延期」に関して、またかというおもいが先にたった。核兵器作りに10年精魂傾けても作れない国があるだろうか。敵視政策と体制保障を理由に延期ばかりしてきた北である。声明によって北朝鮮のありようになんら変化なし。わたしとしては、これを機に協議を解散できたらトンビがタカを生む新展開になる……かすかな希望を抱いたが残念でした。ブッシュ2期めの北朝鮮アジェンダ(基本計画)は不動なり。(続く)
   



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