安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラク国民議会選挙を追う(1)
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〈 Sat, 29 Jan 2005 〉


●在外イラク人の投票はじまる
イラク在外選挙は,金土日の3日間行われる。世界に散らばるイラク人有権者のうち28万人が14カ国で在外投票に登録している.その初日の様子,時差のかげんで真っ先にはじまったオーストラリアは登録有権者11000人のうち初日で3000人が投票。出足は良い。国にのこした家族や親族に類がおよばないか、またスンニ出身はウラギリ者のレッテルをはられのを恐れるなど,イラク国内とおなじ心配を共有する人がいる。日曜日最後に意を決して・・もあろう.投票が行われた14カ国の初日平均は20〜25%、アメリカが低くイランが高かった.総じて出足は良い.最終的には平均60%を上回る投票率が期待できる.

歩いて投票所に行けるラッキーな有権者はまずいない.北欧ではコペン,ストック,ヨテボリの3都市のみなので、当地ノルウェーからは登録にオスロから一泊2日のチャーターバスが一週間まえにありました.そしてまたバスで投票に行く.たいへんな努力とお金もかかるのである.実際は世界で百万人以上の有権者がいても登録したのは28万人,少ないじゃないかと一見思えるが,不便をおして4分の1はスゴイ熱意なのです.

日本の在外公館はおそらく世界100カ所以上にあるだろう.それでいて参院比例代表全国区の在外選挙投票率は3%なのです.反省しろ.

●選挙準備完了、バグダッド不安
カウントダウンにはいったイラク国内は、特派員チームが強化されヒートアップしてきた.CNNはライブで日曜日の投票を流す.他社もまけていない.日曜はみなさんTVを見よう.ボンブ,ロケット砲の黒煙が立ち、待ち伏せ狙撃は相変わらずだが,間際になって続々とポスターが張り出され、南部のバスラなどでは選挙カーが走っている.クルド自治区は選挙なれしているので選挙運動は活発だ.問題はバグダッド市とスンニ地域4県である.

111の政党と個人が立候補している.ハキムの「統一同盟」党は169人が名を連ねている.だがこういう名簿は一般に知らされれなかった上,個人候補もほとんどがテロを恐れて顔を見せない.はじめて選挙を体験する人が大半というのに,情報不足に戸惑い棄権する人が少なくない.投票率マイナスの要因はこんなところにもある.

バグダッドでは投票所になる学校が4か所爆撃され,市民が危険をおかして投票に出向くか非常に悲観的な現地報道が多い.これはレポーターの多くが反乱勢力のボンブにおののくバグダッドにいるせいで、過剰に反応しがちです.特に嫌米の西欧記者に顕著.投票所は全国で5600カ所あります.全体からみればヤブ蚊にさされたくらいだ.

●スンニの候補者
スンニの候補者がハッキリしない.すでにイラク政権を握ったつもりのアブデル・アジズ・ハキム革命評議会議長によると,候補党名および個人名111のうち55がスンニに属すると言う.両派にまたがる親族関係はよくあることらしく,ヤワル大統領はスンニだがシーアにおじさんがいる.スンニがみなボイコットすると頑固におもいこんでレジティマシーを疑う意見については,どうかな.最悪のバグダッドは投票率40パーセンを切るだろうが,スンニ三角地帯では40%を上回ると予想しています.全国平均50%余が及第点とされる.わたしはの予想は60%以上.

●サドル去る
シーアのミリタントムクタド・サドルの音沙汰がたえて久しい.武装宗教ファナテイックを議員に選んでくれる支持者がいなくなり、本人が候補を取り下げたそうです.だれも引き止めなかったそうです.

さて,不正防止のためスイスで印刷された投票用紙が届き,各投票所に配分が始まった.国際選挙モニターには824人が参加する.

おまけ:イラク選挙を支持・鼓舞する重厚なスピーチを金曜日,国連アナンが言った.いまごろなんだよ、さんざ選挙できる治安状況ではない.正統性に疑問だと邪魔ばっかしておきながら、例の不正疑惑からシフトしたのでしたね.アハハ.
   



Pnorama Box制作委員会

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