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話題二つ,やればできるアッバスと憎めないカダフィ
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〈 Thu, 27 Jan 2005 〉
●パレスチナ、アッバス、やればできるじゃないか
とイスラエルの接触が再開され(水曜日)アッバスとシャロンの顔合わせが今月中にもと10日前のコラムで先読みした展開。アッバスが過激派3組織と話し合いを始めると同時に,ガザ地区北部境界の内側に治安警察を配置したのに、心底感じいりました。『お,やったな。それ見ろ,やれば出来るんだよおまえ』てなぐあい。「アッバスの失態と無力」なんてちょっとハードに噛み付いたかな、反省してます。 まずアル・アクサ殉教旅団が停戦に応じたが,ここは選挙でアッバス支持を宣言しているので不思議はない。ハマスが昨日シブシブ停戦に応じたのは世論のなりゆきに押し切られた。こうなればイスラム・ジハードも停戦に従うしかないだろう。治安警察はさらにガザ南部 エジプト国境にも配置される。いけいけアッバス! まだまだ先のハナシだが和平交渉が開始されても,いつか来た道、テロ再発でもとの木阿弥になる可能性のほうが高い。過激派はパレスチナ難民の帰還と,エルサレム帰属を要求しているが,この二つは北方領土どころではない難問である。ロードマップでも先送りしているこのふたつを、アッバスが過激派に言い含めることができるかダメか、和平合意成功の鍵はこれだ。 ●カダフィ、にくめない奇人 30日の選挙が迫り,メディアの評論が活発になってきた。情勢は半月前コラムで予想した ような展開。つまり毎週100人の死者を出し手おります。水曜は米軍ヘリが西部砂漠で悪天候のため墜落して海兵隊員31人死亡。パイロットミスだがこれで開戦以来米軍1400人の犠牲者を出した。それでも選挙は実施され,シーアが議会過半数,そのなかでハキムのイスラム革命評議会が27%で最大与党となる見込み。 選挙日に投票者がウァーっと来るか,閑古鳥か,選挙後の混乱は,治安は沈静するのかそれとも内乱に突き進むのか,次回からにまわします。いえ,選挙結果がでるのは一週間後ですから慌てるこたァござんせん。 去年11月1日に拉致された米軍基地勤務の米民間人・ロイ・ハッラムス(56)氏が手を合わせて助命アピールするヴィデオを火曜日にアルジャジーラが放映した。頭が銃口で押されて傾いでいる。穏やかな感じの米人はアラブのリーダーに,とりわけカダフィ大佐の名を挙げて嘆願した。ブッシュじゃ助けてくれないから頼まない。 さっそく翌日カダフィが、アルジャジーラTVを通じて解放してやれと返答したんですな。 ''As a response to the begging, we ask the Iraqi resistance in the name of Islam and Arabism to free him, implementing the principle of forgiveness,'' 『嘆願に答えて、我々イスラムとアラブ主義の名において彼を解放し寛容の道義を実行するようイラク・レジスタンスに願う』。即答です。 カダフィのこの気さくであけすけな語録をもう一つ。ウロおぼえですがライス・ヒアリング2日めに民主党の重鎮ジョセフ・バイデンが質問するでもなく,カダフィ面会時に直接尋ねたエピソードを披露しました。バイデンがこんなキャンディッドな指導者はみたことないと述回したエピソードです: --どうして核計画をあきらめ生物化学兵器廃棄を決断したのか? 核はベトナムでも役に立たなかった。インドもパキスタンも使えない。使ったら最後だからね。あれは役に立たないのだ。 --どうしてアメリカの石油産業と協力する気になったのか? フランス90%、リビア10%の約束で,結果フランスは95%持ってゆく。アメリカは50%というと50%だからね。 石油のほうは、ホメ殺し風にのせられたようだが真っ赤なウソでもない。(了) |