安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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特恵を返せ!ロシア年金者デモ(1)
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〈 Sun, 23 Jan 2005 〉


●ロシアの年金改革,スタートで転ぶ
ブッシュ2期め就任のお祭りに気を取られているあいだ、プーチンの国では2週間前から年金生活者のデモが相次いで起きていた。年金問題は世界共通ですが,先進国ではいま年金生活を送っている人は困っていない。もし年金が雀の涙になったとき何が起こるか?いまロシアの現状がそれを示しています。

ロシア全土,フィンランドから北海道の鼻先きまで、ムルマンスクからサハリンまで全国各地で年金受給者の街頭デモが連日続いていたのです。規模は大きくて数百人、たいしたことなさそうだ……そうタカをくくってTVが連日放送するのを許していたようだ。農民一揆や腐敗自治体へのデモを報道しない中国よりポジティヴではある。

【左へ寄り道します。米上院審問でライスが圧政暴君6カ国を列挙して話題になりましたが,あれは質疑の流れで発言したのであってスローガンにする目的で準備したものではない。
より具体的にはチャベスのヴェネズエラをnegative force,カストロのキューバをdeeply troubling,そしてクレムリンの権力集中を具体的に問題視しています。ロシアはヘヴィー級懸念材料で北朝鮮の比ではない。】

ロシアの年金受給者といえば公務員や軍人や国営産業の労働者たち。加えて身障者は「 ソヴィエト時代の特恵」を受けてきた。その面で墓場まで面倒を見る共産主義が生き残っていたと言える。薬代、交通機関の乗車賃無料、人によってはアパート代など社会的恩恵が全部カット、かわりに現金を支給することになった。この社会保障・特恵制度改革が8月に国会を通過し,ことし1月1日から実施された。

●改革目的OK、支給額too little
特恵制度改革そのものは、社会福祉先進国にみられるトレンドで,敬老無料パスより,金を払って堂々と切符を買い,旅行するするほうが人間ハリがあっていいものです。年金だけでは欠乏する医療面や介護ホームは自治体が支払ってくれるが、日常生活は税金も払う一人前の制度です。

【右へ寄り道します。当地では産児休暇のあとも、子供ができたらお母さんはしばらく家にいるのが望ましい。無料保育園を廃止して幼児家庭に現金を支給し、家で育てることも可能になったのですが,あいかわらず保育園(シーリング料金あり)やベビーシッターに預けて稼ぎたい女性が断然多い。】

改革に対して高齢者は反対しなかった。インフレが心配だぞと思う人は少数だった。さて新年、ロシアは10日まで正月休みだったので反応が遅れたが,支給された額を知って目の前が真っ暗になったのです。ひと月の平均支給額2000ルーブル(7500円)で,電気代,ガス代,家賃払って喘息の薬を買ったら残るは・・あとどうやって食いつなごう。『ウォロージャ(ウラジミール・プーチンの呼び名)、いったいぜんたいオレたちのロシアをどうするつもりだ』と,モスクワのデモで退職KGBがどなったとか(Reuter)。

最低の基本年金受給者は途方に暮れる。共産党の出番です。プーチンの出身地ペテブスブルグで土曜日、共産党員の指導で1万〜1万5千人の街頭デモがクレムリンを震撼させた。共産党は国会議席450のうち48席を占める唯一の影響力ある野党。特恵改革撤回と内閣不信任の署名を集めているらしい。共産党はまた2月12日(土)には全国一斉デモを計画中という(Interfax)。(つづく)
   



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