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パウエル国務長官お別れの辞
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〈 Thu, 20 Jan 200 〉
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水曜日,国務省のロビー、2階ギャラリーまでぎっしり集まった数百人の職員に辞任するパウエル長官がアルマ夫人とアーミテージ副長官を伴ってマイクのおかれた階段の踊り場に降りてきた。拍手がなかなか鳴り止まない。 あいさつは手短か,「オレはあれもやったこれもやった、諸君は今後とも職務に邁進されたい」なんてことは一言も言わない。世界情勢をひとわたり振り返りアフガニスタンとイラクのことにちょっと触れたが,それも職員一同の努力が実を結び,これらの国で民主的ルールが根付くだろう。と,あくまでねぎらいと希望のメッセージです。 4年間,みなさんと一緒に仕事できた幸運を喜びを,チャンスをあたえてくれたブッシユ大統領に謝することも忘れない。35年の軍歴からメYou were my troops。You were America's troopsメ こう述べてグっと声を詰まらせた。『わが歩兵,諸君こそはアメリカの部隊』と讃えるのは,ラムズフェルド配下米軍へのあてこすりと読めないことも無いが,パウエルの直裁な気持ちが出ていると思う。よく自分をサポートしてくれた国務省全員への軍人らしい感謝の表現。そのくだりまでの爆笑をさそう語り口がいい。(Almaは夫人の名前) I remember the first day that I came into this lobby and was greeted with warmth and affection by all of you. That morning before I left to come down here, Alma said to me, "Remember now, you're not in the Army anymore." (Laughter.) "And don't go down there and start acting as if it's an infantry battalion." (Laughter.) And I said, "Yes, dear." (Laughter.) Then I immediately came down here and saw the crowd, and I started treating you like you were an infantry battalion. (Laughter.) Because you were my troops. You were America's troops. You are wonderful individuals. You are wonderful families. You are wonderful patriots who serve your nation as its troops in the far-flung outposts of American diplomacy. You are in the first line of offense of America's foreign policy.
後任のコンディ・ライスをよろしくとその頼み方がまたクシュンとさせる。『諸君が私に示してくれたサポートと忠誠で長年の友人ライスを迎えてください。』 それにしても国務省の人心を完璧に把握というか,慕われた長官でした。4年前の就任挨拶からして,職員をリラックスさせる暖かさとユーモアでこの親分のためならと思わせた。4年前,かんべえさんがこの挨拶をいたく気に入って,理想的な上司と評しています。 パウエルのまえ,クリントン/オルブライトのコンビに国務省は軽視され,パッとしなかった。人員削減,予算カットされると役人は士気を失う。パウエルは就任初日から省内のプライドと士気をいっぺんに取り戻したのだから天性外交に向いていたと思われる。そのパフォーマンスもさることながら部下への思いやりが(部下を叱責するウワサを聞きません)キッシンジャーやベーカーと180度違う。 挨拶をおわったパウエルに挨拶くらい長い8分の拍手があった。中国と北朝鮮に言及したが日英豪がとうとう口の端に上らず,拍子抜けだなパウエルさん。ま,それだけ安定信頼している関係にあると理解しておこう。(了) |