安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
PA議長になって変容し たアッバス
------------------------------------------
〈 Sun, 16 Jan 2005 〉


●アッバスに懐疑的
昨年いちばんの朗報はアラファトがいなくなったこと。もちろん死者にムチ打つ悪意からではありません。政治の舞台から消え、中東和平に新時代がひらかれるから朗報なのでした。後任にアブ・マーゼン(アッバスの通称)が選ばれ、イスラエルの後押しもあって希望的観測が満ち満ちた。アラファトに比べれば良いに決まっている。とはいえ、候補に推された頃からアッバスは非常に注意深くなっている。

パレスチナをまずひとつに団結する前提があり、それは理解できる。しかしそのためにアラファトのシンボルに縋るアッバスは見苦しい。アラファト葬儀にその偉大な遺産を継承するといい、アラファトのアイデンティティーである金網模様のスカーフを頭にこそ被らないが首に巻いたり振ったりサービスにつとめ、また議長当選発表では「この勝利を故アラファト議長に捧げる」と第一声、アラファトさまさまなのである。イヤだな、大統領になってだんだんアラファトに似てきた。

ロードマップ発足時を思い出してみよう。アッバスは「ロードマップ 」に首相として交渉に臨み、武装派テロの頻発に交渉が難航、武装派を押さえないアラファトに治安部隊の権限を譲るよう要求したが拒否され抗議辞職、和平案は頓挫したのである。だが世間はアッバスの和平努力を買ってきた。期待した。

そしていまパレスチナ大統領として全権を手に入れたにも関わらず、武装勢力と構える気概は全くない。この人は決してムリをしない。親分に抗議してダメならおとなしく引き下がる。そうやってアラファトと一緒にファタを設立した古株はこれまで生き延びてきたのだろう。武装勢力と共生しながら和平が成立するだろうか。

●シャロンの接触凍結通告は交渉への布石
13日、ガザ地区検問所を狙った自爆テロでテロの3人とイラク兵5人が死亡、これに対するアッバスの両者成敗的言い訳に怒ったシャロンは接触凍結を通告した。通告はしたもののこれは外交返礼的な措置、そう長くは出来ないと承知している。和平交渉に関してはシモン・ペレス外相が采配するので、遠からず話し合いが始まるのは確実。

一方でアッバスは武装勢力3組織(ハマス、イスラム聖戦、アルアクサ殉教)と話あう。それが何週間、何ヶ月かかるか、合意してはすぐドカーン……いちからからやり直しの繰り返しは無意味と思うのだが。

ムバラクが「就任したばかりのアッバスに武装派を取り締まれとする早急な要求は間違いだ」とイスラエルを非難した。ムバラクさんは黙ってろ!大統領3選を確実にし、4期めには息子に禅譲体制を進める独裁者メ。同郷エルバラダイまでマネしおって、国連トップは3選しない了解を破りIAEA3選が成立する見込み。プーチンでさえ朕の3選はないと宣言しているのです。エジプトはどうもいただけません。

接触凍結に関しておなじイスラエル批判を私の大嫌いなエレカトがまくしたてています。この男は対外スポークスマン、主席交渉員としてどんなに不利な状況でもアラファト弁明イスラエル非難を支離滅裂に吠えるだけが取り柄。ロードマップでは出番がなかったが復活し、今度はアッバスの弁明に新境地を見いだした。そういう男をのさばらせている限り、アッバスに期待するのは難しい。(了)
   



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る