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付録・イラク国民議会選挙
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〈 Thu, 13 Jan 2005 〉
●在外投票、 Out-of-Country Voting (OCV) Program
外国に住むイラク人も国民議会選挙に参加できる。国際移住機関(IOM)がイラクの独立選挙管理委員会(IECI)の委託で実施される。実施国はオーストラリア、カナダ2、デンマーク、フランス、ドイツ3、イラン6、ヨルダン1、オランダ3、スェーデン2、シリア、トルコ2、アラブ首長国連合2、イギリス3、アメリカ5、計14カ国、数字は投票所の数を示す。主要都市に限るが、移民は都市部に集中しているので半数が投票可能。イラク移民の少ない国、日本などははいっていない。イラク人有権者が最も多いアメリカでは全土で100万人近いといわれ、その半数なら50万の票が見込まれる。移住イラク人の投票先ですが、半数がシーアの非宗教政党、つまりアラウイ首相の「イラク国民合意」やパチャチの「イラク国民会議、チャラビの「イラク国民会議」に流れ、半数をクルド政党とシーアの「統一同盟」でわけあう。と、私感ですがイラク国内で絶対優勢の「統一同盟」は在外投票で劣勢になるだろう。 なお、在外投票の詳細は;http://www.iraqocv.org/ 政党リストなどはアラビア語ですからわかりまシェン。 ●なぜシーアは選挙に燃えるのか 湾岸戦争のあとシーアとクルドの決起が、無傷でのこったバグダッド精鋭部隊に赤子の手をひねるごとく粉砕され、米の支援/武器供与の拒否にあってあえなく鎮圧された。武器だけでいいからという要請を制服だったパウエルがパパぶッシュに断るよう進言している。少なくとも10万人が虐殺され、この全貌はいづれ裁判で明らかになる。ともかく現在のシーア市民は戦いはご免、サドルのマハディ軍とてスンニの過激派には刃向かわない。シスタニ師の[報復するな]とのお布令がなくとも「あれは外国人テロリストの仕業、イラク人はこんなヒドイことはしない」とつくろって自粛する民です。選挙まで毎週100人が殺され 殆どがシーア出身者でありながら選挙なら多数が勝つ……それまで辛抱、シンボウ。 また古くは1920年代にシーア派は政治不参加を選んだため、発展から取り残された。フセイン独裁政権が誕生して統治される者の悲哀をいやというほど味わっている。一般的には政権奪取のチャンスといった積極的な意気込みというよりもあのときの失敗だけはしたくない。二の舞はゴメンだ、でしょう。実際宗教政党には政策らしきものはなく、イスラムに法った政治を標榜するにすぎない。 ●シーア多数議会の誕生に困惑するアメリカ イラクのシーアはイランのシーアのように過激ではない、と言われるが背後のシスタニ、ハキム、サドルが発言力を持っている。大量破壊兵器がなかった埋め合わせにイラク体制変換と民主化を達成しなければならないブッシュとして、宗教議会が擡頭してはどうしょうもない。過去の過ちを点検してもしょうがない。とりあえずラムズとウルフでいくっきゃないのです。新しい移行政府の首相に誰が選ばれるか、今回は米が首相人事に大口を挟めないだけになやましい。個人的には現実的実務家が首相に選ばれ、暫定政府と大差ない陣容になるとおもいます。アラウイが続投する可能性もある。 アラウイ首相は親戚が拉致されたり、INA創設以来党員45人が殺害される被害にあっている。武装集団のウラミを背負った受難の政治家、近代史上希有な人物です。ノーベル平和賞選考委員はメクラか、右寄りにはメクラなのです。 ●国連が派遣する選挙管理委員は210人に増員され、そのボス、ヴァナンズエラ氏はアラウイに負けないぐらいガンバっています。なんちゅうか、お金につながらないポジションによい国連人がいますね。この国連チームを警護するためフィージー軍150人が配属される。(了) |