安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イラク国民議会総選挙をうらなう(4)
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〈 Wed, 12 Jan 2005 〉


● 無所属立候補
政党とは別に個人でも500人の推薦が集まれば立候補できる。事業主、校長先生や 医者、町内会長など認定登録者は現在150人くらいになっているとおもわれる。

前回、党と党首にあげなかった当確実力者を付け加えておく。シーアの少数党「イラク独立民主党」重鎮パチャチ、「ダワ党」はシーア派最大の組織であるがサッダムに協力したことで今分裂気味だが現副大統領のひとりジャファリがいる。「イラク共産党」からは文化大臣のジャザイリ、南部シーアの貧民層に地盤がかたい。

●アヤトラ・シスタニ師を戴く「統一同盟」
このコラム、どうも話が前後してもうしわけない。選挙で大勢を制し、政権をとるシーア宗教連合を特別扱いするためかくなった次第。シーア最高権威のアヤトラ・シスタニ師の猊下、シーア派宗教セクトを結集して「イラク統一同盟」なる協力体制で選挙に臨みます。ダワ党と革命評議会のほか21の政党や団体が参加し、武闘シーア派のサドルは立候補しないがサドルの組織がもちろんこれに参加している。議会はこの同盟が過半数を占める。

選挙は全国区比例代表制で行われ、美容院の看板のような公示ポスター(写真)が貼られている。毎日各地で爆破が絶えない状況でこのスイートなデザイン。こんなのでいいんでしょうか?党ののビラやポスターが少しあるが、危険をおして集会する党も候補者もいない現状で、選挙関連はこのピンク〜ムラサキのポスターくらいである。

●スンニのボイコットは選挙の正統性に抵触しない
選挙で選ばれた議会の最重要任務は憲法草案の起草であり、このことが選挙の正統性を疑問視するもとになっている。スンニが加わらないイラクの憲法づくりは正しく国を反映しないというもっともな理由であるが、加わらないのはスンニの勝手で、 政府やシーアの代表が ぜひ参加してくれと頭を下げ回っている。ボイコットするのも民主主義の権利であるゆえ、投票しなくてもよいが、それをもって正統性を否定する権利はない。また、バース党員の立候補が禁じられていることをもって正統性をなじる論がある。しかし彼らは自由の身であっても戦犯、次回の選挙までは謹慎すべきだ。

30日の選挙実施は国民の絶対多数が望んでいることで、ブッシュや暫定政権のゴリおしではない。アンバル県では役所の全員700人が脅迫され逃げ出した報道がある(W.Times) 。投票所が爆破されたり、アラウイ首相とブッシュが認めたように投票所を設置できない地区もある。サマラ、バイジ、モスル、などの都市、それに比較的穏やかであったチクリットもあやしくなった。ファルージャ市内は現在1万人弱が戻っているが、やはり郊外避難所での投票になるだろう。

●スンニの半数は投票する
スンニの最大都市バグダッドです。ここは米軍とイラク軍メンツに賭けて市内各地区で投票できる状態にある。そのための増援に英が400〜600人、イラク軍10万を選挙後をにらんで一気に5万増やす予算を計上した。ブッソウな地区では有権者が安全と思う投票所が選べる方法が取られるという。総合するとスンニの半分は投票に赴くのではないか。アフガニスタンやパレスチナの選挙にかける市民の熱意を知るにつけ、イラクは違うとどうして判る?

ブッシュ大統領2期めの就任式が20日ですか、演説でイラク選挙に臨む国民に期待し、日の出のような明るい展望を述べますよきっと。エムバラシングではありますが、選挙が終わったら 後は野となれ山となれ、米はイラクを放り出す。そういう意見はまちがいですぞ。
ウルフォヴィッツ国防次官が留任、これでクリントン時代に「サッダムを排除すべし」と書簡を送った「新世紀アメリカ」のメンバー、チェイニー、ラムズフェルド、ウルフィヴィッツがブッシュ2期を勤めます。この面々は『中東に民主の光あまねく照らせよ』をミッションと心得ているのです。(了)

   



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