安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ツナミ地震
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〈 Tue, 28 Dec 2004 〉


●地震の被害、最大は中国
ベンガル湾からインド洋へ、アフリカ大陸にまで押し寄せたスマトラ沖地震による津波は、現在2万数千人の犠牲者が報告されている。最終的には6万人に達すると言われる。

数を競うわけではないが、関東大震災(1923)では14万人の死者行方不明者が出た。中国ではもっと最近1976年、もっと大きな被害を出したタンシャン大地震がある。中国の公式発表は死者25500だが、国際機関は65万人以上とはじきだした。この頃の中国は毛沢東が「災害自力更正を」理由に外国支援を拒否し、災害の実態もよく伝わらなかった。しぜん世界の反応が弱く大惨事に見合うニュースにならなかった。中国もそろそろ災害を隠さず、世界から支援者が活動できる自由な社会になってしかるべきではなかろうか。他国へ義援金や救援物資を小額おくることはあっても救援隊を派遣したことがあっただろうか。

●ツナミのなかった大西洋とインド洋
環太平洋には津波警報を発するシステムがあるが、津波の経験がないインド洋と大西洋には関係国のあいだに津波警報の取り決めがない実情です。欧州でもツナミは科学として存在するが、津波を専門にする機構はない。したがって海底地震によって引き起こされる『ツナミ』は米のメディアで一般的に使われるが、欧州メディアで使うことは珍しく『高波」と呼ぶ。なかには『高潮」さえ平気でつかうアナウンサーがいるのです。

インド洋に至っては沿岸各国の地震計がロクに配置されていない状況で、国際警報システムの整備はいうほど簡単ではない。日米欧が協力して警報を沿岸政府に報知するのは易い。地震予知は直下型でも海底でもアテにならないが、津波の警報はもしくるとすれば何時頃になるか、海底の地勢からいたって簡単に計算できる。ただ、震源から近い沿岸への警報は、北海道南西沖地震のように間に合わない場合があり、今回のアチェ西海岸でも難しい。しかしプーケットでは2時間以上の余裕があった。

実際ハワイの津波警報センターは1時間後に警告をだそうとしたが、インド政府のどこに連絡をとっていいか判らなかったという。たとえ所轄官庁に通じても沿岸海浜の漁民や市民に伝える能力となると、インド、スリランカ、バングラデッシュ、ミャンマー・・・10年かかっても実用になるとはとても思えない。

●ヤシの浜辺に似合わない防波堤
津波の高さは狭い入り江なら7〜10mになる。今回沿岸やアンダマン、マルジブの広い砂浜に到達した津波は全体のエネルギーは超弩級でも高さが3mぐらいで、高さだけならサーフィンに丁度いいくらいなのです。そのまま低地内陸にのびる地形が波の押し込みと引きの強さで災禍をもたらした。波きりポッドと防波堤を高くするだけで相当防げるのです。たいしてインフラに資本がいる産業がないゆえ復興は早い。それがウラめにでて、半年もすればツナミ前と変わらぬ生活がきっとはじまるだろう。そして観光客はつねに楽天的なのである。

ところで被害が最も集中した地方アチェは、独立ゲリラがハバをきかせている。インドネシア政府の援助に不公平があってはならない。(了)
   



Pnorama Box制作委員会

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