安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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クリスマスのない兵士たち
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〈 Thu, 23 Dec 2004 〉


クリスマスです。アメリカの家々は派手にイルミネートして、各人どうやってイブを過ごそうかとウキウキしている。それだけに故郷のクリスマス・ホリデーを思い浮かべるイラクにいる米兵が哀れ、不憫です。

●モスル基地内自爆テロ
モスルの米/イラク軍共同基地食堂の惨事はどうやら自爆テロによるもの、ロケット砲ではなかったようだ。イラク兵や基地労務の現地人のなかにテロ集団と通じているものが紛れ込んでいる。モスル郊外にある大米軍ベース内ですら安心して飯を食い安眠できないというような状況は、米軍の戦史上なかった。イラクが最初の経験です。

来年1月30日の選挙にむかって、テロ活動が激しくなってきた。たしかにテロ攻撃は一段と巧妙になり、スンニでなければ市民をも標的にする末期的テロが横行する。シーアの聖地ナジャフのモスク攻撃は、予定される選挙で圧倒的勝利が確実なシーア派に対するスンニテロの開戦攻撃といってよい。内戦勃発の契機であるが、そうはならなかった。

●シーア宗教政権の不安
多大の犠牲者を出しながら、シスタニ師の『挑発にのるな、報復するな』のひとことでイラク60%の人口をもつシーアはネコのようにおとなしく、拍子抜け。シーア派はフセイン時代の2流国民の境遇にあり、スンニに反抗しない姿勢が習い性になってしまったのでしょうか。米にたてついてもスンニテロと戦う気概がない。

この頼りげないシーアが来年政権を握りイラクをおさめることができるだろうか。スンニ過激派のテロが退潮するとおもえない。選挙が行われるとわたしは踏んでいるので、新政府の成り行きがおもいやられます。米軍はイースターも休んでおれない。

●ブッシュ悶々、治安対策に具体案ナシ
どうも最近のブッシュは覇気がない。1月30日の選挙、危険な地域では選挙期間にハバをもたせるアラウイ首相の意見もきかず、しゃにむに決行するポリシーにしがみついているが、自信の揺らぎが垣間見える。最近の記者会見はほとんど答えになっていない。「それは現場の司令官に聞く質問だ」、では現場が困るだろう。

自由と民主主義の大義を『ね、そうでしょう』風に同意を探るような話し方になってしまったブッシュは、いまラムズフェルドが一番のたより。パウエルは相手になってくれない。だから、いくら非難されても言い逃れず腰が据わったラムズフェルドを放せないのです。いまのイラクはこの国防長官が踏ん張っている部分が大きい。

ウクライナの選挙にいま続々と外国モニター団が参入して、そのかず数千人にふくれあがった。大統領選挙にボランティア外国監視団が数千人も現れて、どういう了見だ。はたして国民は心からよろこべるだろうか。来てくださいと悲鳴をあげているイラクの選挙には知らんぷりしおっていまいましいポーズ屋どもめ。(了)
   



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