安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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深まる競売ミステリー
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〈 Wed, 22 Dec 2004 〉


●対ドイツ借款を返済するプーチン
プーチンとシュレーダーはウマがあう。互いにドイツ語で話せる強みがある。プーチンは『クリスマス・プレゼント』を持参した。プレゼントとはドイツがロシアに提供した経済協力借款を約束通り2005年から返済を開始するというもの。ホホー、めずらしいことですね。ロシア政府が借金を踏み倒さない・・これはロシア経済足踏みの現況ではよほどの決断、プーチンさんはおもいきったプレゼントをした気持ちでしょう。 

ところで、日本の対ロシア経済協力借款17億ドルは、とっくに返済開始の2002年をすぎて回収不能になっています。法治と遵法が口ぐせのプーチンが、ドイツにかえして日本に返さないとは納得できん。ナホトカへのパイプ敷設にもっと出資しろと言う前に、ジャパンにもプレゼントを考えて貰いたいよ。 

シュレーダーはロシア政府を非難しない。ユコスの顛末、先日の競売について市民的感覚では「憂慮」とか「懸念」くらい表明すべきではないか。それを『ロシアの内政問題であり、この件を持ち出すのは独露関係に益しない』と、どこまでも米を牽制する。遠いアメリカより隣のロシアとよい関係を大事にしたいであろう。それは判るとしても、信念がウスッペラではないか。ブレア、シラク、サパテロ、ベルスコーニなど同僚たちはそれぞれ信念がある。好き嫌いはあっても魅力ある政治家だが、シュレーダーにはただもう気分がさえない。

●深まるユガンスク競売のナゾ
この記者会見で、ユコスの中核小会社「ユガンスクネフチガス」を落札した謎のファイナンスグループ「バイカル」が何者かプーチンが「聞いている」と明かした。そうでしょう、大統領の承認済みなのです。バイカルFGの株主について、石油ビジネスに長い民間人だという。すると石油長者のロマン・アブラモヴィッチ?

また、国有石油会社が入札することは違法ではないと、何度も発言している背景にはガスプロムとスルグートネフチガスのどちらかが最終的にバイカルFGから買い取ることを指している。あるいはバイカルFGが大株主のまま経営を国有に任せることもあり得る。ちょうどユコスのオウナーグループ「メナテプ」とおなじ形だが、国際的で反クレムリンの「メナテプ」と異なり、「バイカル」はロシア人の親クレムリンで固める。どちらにしろ問題は落札額の現金を準備すること。プーチンは記者会見で中国がガスプロムに資金協力をする可能性を述べている。

●実現困難な中国の資金提供
中国石油公司(CNPC)は以前からガスプロムやユコスと提携し深い関係にあった。プーチンは中国にユガンスクを買わないかと資金協力を求め、確約を得られないままインドに持ち込んだが断られた。さて、バイカルFGに安値で落札させ、引き延ばしをはかっているあいだに中国が食指を動かし、資金提携を引き出すソロバンをはじいているようだ。欧米銀行から総スカンされているので中国が頼みの綱なのですが、条件が折り合うとは思えない。

バイカルの住所があるトヴェール市の副市長によると「住所に登記の会社がないのはよくあることでノーマルな慣習です」とのこと。そのビルには国有ガスプロムではなく、国有スルグートネフチガス社の子会社の事務所がある。たいした法治国家だこと。ミステリーは深まるばかりです。

落札額を14日以内に納付がぎむづけられているが、競売主体の国有資産基金は年末年始とホリデーが重なるので1月16日まで延期できると新発言。これでも法に則した進行ですかプーチン閣下。(了)
   



Pnorama Box制作委員会

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