安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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フランスの誇り、タルンの谷に架かる橋
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〈 Wed, 15 Dec 2004 〉



深い霧につつまれたタルンの谷のその上に,蝶のようにかろやかな架け橋が朝日に映えていた。

一枚の写真で、こんな感想文が書けるほど美しい高架橋が、フランスの幹線A75号線に完成した。エッフェル塔より高くシャンゼリゼより長い橋が木曜日、今日から開通です。料金は4.6ユーロ、約650円。海を越える長い橋、大きい橋は数々あれど、この橋はコンクリートとスチール・ロープで拵えたイカツサがない。

橋の高さは一番高いサスペンションタワーが343mで東京タワー333mより高い。高さでは世界一の橋だそうだ*。余裕のある片側2車線、車は高さ270mの車道を飛ぶように走り去る。この道路はパリと地中海にそってバルセロナを結ぶ混雑の激しい幹線で週末はジュズつなぎがめずらしくない。毎特にミリョーの周辺は曲がりくねって時間がかかり、夏は悪名高かったらしい。

2001年12月に工事がはじまり、ちょうど3年で完成した。(仮の鉄製組柱の撤去作業が一部のこる)。毎日1万台、夏のピーク25000台が見込まれ、75年で減価償却する予定。この橋は作るのに費用が嵩んだが、確実に利益が出る。大臣がゴリ押しに作らせた高架橋ではないのである。

安あがりに交通緩和を計るなら、旧幹線の幅を広げてできるだけ真っすぐするだろう。タルン川をまたぐだけなら200mで足りる。が、シラクさんはそうしなかった。谷に300m降りてまた300m上がる長い道路より橋だ!コンコルドの事故はまだ起っていない。イラクをめぐる英仏首脳の食い違いもなかった。コンコルド、英仏海峡トンネルにつぐ『空の架け橋』を英仏共同で計画できる下地があったのです。

さて、フランスの栄光ミリョー橋の開通式にシラクさんがプレートを除幕すると、銘にプレシドーン・ジャック・シラクとある。またか。日本で首相名が彫られた橋ってあるんですかね。

設計はイギリス人ノーマン・フォスター、ロンドンのミレニウム橋もこの人の設計、その道の学生なら知らない者はない。ほっそりした支柱は大地に根ざして立ち上がる生き物のように・・・設計者の弁です。ま、地震がないから出来るんだろうが、いくつか写真を見ると橋は少し蛇行して呼吸しているように感じられる。

ミリョー橋は姿がエレガント、それだけでも観光資源になる。さらに地盤沈下などによる高さ調節のため微妙で複雑な油圧システムが施されている。今夏は東洋からの視察グループで橋公団は忙しいこっちゃ。(了)

*印:コロラドにかかる橋の方がはるかに高いが歩道橋、車は通れない。
   



Pnorama Box制作委員会

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