安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ムバラクとシャロンが接近
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〈 Mon, 06 Dec 2004 〉


●エジプトとイスラエルの囚人スワップ
エジプトとイスラエルが急速に接近しつつある。5日、囚人(イスラエルのビジネスマン一人と6人のエジプト人侵入学生)をスワップ釈放して関係改善が言葉だけでなく具体的になりました。ユダヤもイスラムも日曜は平日だから中東は日曜の動きが特に多い。ムバラクとシャロンはウマがあうのだろうか、アラファト死後、お互いに誉め合っているのがとても奇異で、なにか良いことがおこる予感はありました。

さて、アカバ湾エジプト海岸は欧州のリゾート地として、フィンクスやピラミッドなど観光にまるで興味の無い人種、喧しいディスコを敬遠する向きにちょうどよく、当地からもチャーター便が出ています。そのアカバ湾にある隔離されたような外国人客のリゾート地で今年の夏 ホテルが爆発、多数の死者を出した事件がおもいだされる。

事件はイスラエル国境からほんの数キロはいったところでホテル客は車でくるイスラエル人が殆どだった。イスラエル人を狙ったパレスチナのテロであることはたしか。救出にいち早く出動したのはイスラエル隊で、死傷者をイスラエル側に運び込んだ。レスキュー隊といえミリタリーみたいな一団が無断で越境したのに対し、エジプトは一言も非難をしなかった。

●ノン・アラファト効果

ムバラクは政府転覆テロと外国人観光客に対するテロ撲滅には熾烈である。観光収入はドルを稼ぐだいじな産業でうから。ピラミッド帰りの日本人観光バスが乱射されたりしたが、いまでは観光客が回復し軌道に乗ってきた。そういう理由があったとしてもイスラエル非難よりアラファトへ苦情をねじこんだムバラクはわるくなかった。そしてアラファト葬儀を、中東の盟主として果たした陰にシャロンの協力がある。

歴史的なエジプトとイスラエルの平和協定が1979年に成立したものの、両国の関係は協定がないときと変わらず、インティファーダ以来互いに大使館を封鎖、冷えきっていた。それが最近急速に平和協定が息を吹き返したとは皮肉なノン・アラファト効果である。

●バルグーチに背を向けた各派
11月、ムバラクがイスラエルを訪問しシャロンは和平推進に最適の首相と発言。つづいてバルグーチが獄中立候補するとすかさず『パレスチナ和平を乱すもの』と、アッバス支持を鮮明にした。他の中東諸国の首長がモゴモゴしているのを叱咤するとともに、パレスチナ過激派をグラつかせたようだ。

ハマスは選挙ボイコットを取り下げ、ゆくゆくはファタとともにアッバス支持にまわるのではないか。アルアクサ殉教団もアッバスのテロ自粛を受け入れ、幹部はアッバス支持を打ち出した。これでバルグーチは八方ふさがり、親族をたのみに民衆の人気を維持できますかねえ。小生の予想がまた狂いましたが慶事ではある。

余談:8年前スパイ容疑で逮捕され、15年の刑を言い渡されたイスラエルのビジネスマンは、女性の下着に見えないインクで情報を記して行かせた……なんていうケッタイな事件。ヌレギヌといわれている。かたや6人のエジプト学生は職探しにイスラエルに侵入しただけ、護身用にチャチなエアガンとナイフを持っていたというが、そんなの半年で追放する程度なのに侵入外国人テロリストにされちゃった。(了)
   



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